菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『真空報告官大運動会』

RETROSPECTIVE-CITYBOYS LIVE![BOX3] [DVD]

RETROSPECTIVE-CITYBOYS LIVE![BOX3] [DVD]

↑『真空報告官大運動会』を含んだDVD-BOX
後輩を「素敵なコントを見せてやる」と言って騙し、シティボーイズ『真空報告官大運動会』を見せる。いや、騙すというのは何かが違う気がしないでもない。素敵なコントであるのは間違いない。ただ、過去何人かにシティボーイズという演者を紹介してみると、彼らが年老いている……いわゆるテレビで見るコントの様なキャッチーなものではなく、老成し、むしろ舞台に近いものになっているのではないかという印象を持たれている感があったため、やや不安ではあった。シティボーイズのコントは、知らない人にとっては古臭いものと思われがちであり、実際に見てもらっても感受性を刺激しすぎるために理解されないことが多く、誰かに紹介するのは実に厄介なモノなのである。しかし、その後輩は演劇に手をつけていたからなのか、無事に理解してもらえたようである。良かった良かった。

さて、肝心の『真空報告官大運動会』に関する話。それまでシティボーイズを知っていた人にも、初めてシティボーイズを楽しむ人にも丁度良い。演者がシティボーイズ中村有志いとうせいこうという、三木聡演出の舞台は既に四度目という玄人たちの最終形態と言っても過言でもない本公演は、まさにベスト・オブ・シティボーイズ。過去のコントと通じている部分もあり、至極楽しめる内容になっていると断言できるものになっている。少なくともバラエティに富んだ内容になっているのは間違いない事実である。
内容は、大竹まこと演じる刑事エレクトリックソウルマンが、“スキマーゼ”と書かれたフンドシをつけた男の死体が発見された事件を解決するために、奔走したりしなかったりする物語が本筋。途中、それとは無関係に感じるコントも多く挟み込まれていたりするが、実は本筋と繋がっていたりする。それは、まさに三木聡マジック。今ではアンジャッシュが舞台でやっているような構成を、長時間に及ぶ公演として脚本・演出したんだから、その腕力は凄いとしか言いようがない。しかしながら、最終的にはナンセンスに落とすという手腕。本当に、素晴らしいとしか言いようがない。

ちなみに、後輩は中村有志演じるダルマの移動に感動していた。僕は、きたろうが中島みゆきのアルバムのタイトルを見て「傲慢だよねぇ」と漏らすところに爆笑した。笑いどころは違っても、爆笑したのは変わりなし。コントって、本当に素晴らしいものですね、とか言いたくなっても、仕方ないじゃない。