菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

変態と変人の協奏曲

チュートリアリズム [DVD]

チュートリアリズム [DVD]

M-1グランプリ2001では存在を抹消されるも、M-1グランプリ2005で独自のスタイルを見せ付けたチュートリアルの初単独DVD。内容は通常の単独ライブをそのまま収録されているので、これを最初の単独DVDにしちゃって良いのかしらん、という印象。面白いんだけど、ちょっとハードルが高いんと違うやろか。まぁ、僕はどっちゃでもええんですけどね。面白かったし。

内容は、徳井という変態と福田という変人の同棲生活を見せ付けられているような混雑っぷり。「漫才」では冷蔵庫に対する必要以上の執着心を抱いている徳井に対し、ついつい客以上に爆笑してしまう福田の、優しさを越えた母性の様なツッコミがぼんやりと光る。もう一つの「漫才」では福田の作家宣言を完全に無視して自分の歌を歌おうとするが、どうしてもアジアに目を向けてしまう徳井の発想によって、客を道連れにタイタニックの如くずぶずぶ沈下していく二人の姿を垣間見える。

一方のコントでも、二人の変なところは曝け出される。徳井が凧サークルに福田を命がけで誘おうとする「カイト」、外国人でしかも変態という濃いにもほどがある徳井演じる水道修理人が福田夫婦に横恋慕をしようとする「ウォーターレスキュー」など、間違った意味でのインテリを続ける徳井と、それを温かい目で見つめる福田の世界観に浸透しまくり。

そんな福田の母性的視線に気付いたのか、徳井が福田に対して愛情を注ぐだけ注いだ「トクイプラン」は、まるで変態の夫を見つめる妻を見ているかのような、そんな匂いを感じさせられた。私生活では同棲していても不思議ではない。

最終的に変人夫婦の日常を見せ付けられたかのような感覚に陥ってしまう本作。それはまるで、知り合いのホームビデオを無理やり見せ付けられている感じに似ている。いや、特典映像の「福田ひとり酒」に至っては、本当に福田の実生活を隠し撮りした内容であり、その趣がそのままカタチになっている。テレビを相手に会話を続ける福田の寂しさはとてつもない。一刻も早く、チュートリアル二人が結ばれる日が来ることを、願ったりしてみたりする、今日この頃。

収録時間:132分+特典映像20分