菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

Punchの前のprivate

単独ライブ 秘蔵映像集

単独ライブ 秘蔵映像集 "private stock" [DVD]

  • バナナマン(1994年結成)
    • 設楽統(カッコ悪いほう)
    • 日村勇紀(もっとカッコ悪いほう)
    • 収録時間:79分
・本編
1.「ルスデン」(1995)
2.「ジャッキー設楽・マジックショー」(1995)
3.「バカ青春まったなし!」(1997)
4.「ウソ」(2001)
5.「HOSPITAL」(1997)
・特典
コメンタリー(コント解説文)

独特のアングラコントを展開させているバナナマンの傑作選ライブDVDが発売される前に、これを紹介しておかないと。実にイケナイ。傑作選のほうには、ファン投票で決められたコントばっかりが収録されているということもあるからか、収録内容は実に大衆向け。しかしバナナマン、決して明るい気質のコントばっかりではないのだヨ。そういう明るい部分ではない、闇の部分。その闇部分のコントばかりを収録しているのが、この「private stock」なのである。音質悪。

それにしても、ここまでダークにならなくても良いのではないだろうか。電話で日村のことを設楽がじわじわと追い詰めていく「ルスデン」と、お金目当てで日村を騙し、着々と私服を肥やしていく設楽の欲望を見た「ウソ」は、まるで設楽による日村公然リンチの如く、ドロドロとした感情が渦巻いているように思う。その一方で、二人が偽装ぎみに和気藹々としているコント「ジャッキー設楽・マジックショー」「バカ青春まったなし!」が、砂漠に咲いた一輪の花のように凛と輝いている。そんな対照的なコントのどんじりに控えた「HOSPITAL」は、二人の役者としての手腕で引っ張るだけ引っ張りまくった極上品。二人四役という、若手のコント師の中でも独自のスタイルを展開させ、他の追随を許そうとしない覚悟が見え隠れしている。要は、全体的にドロドロなのだ。恐らく、最近やたらと太り気味の日村氏の血液を印象付けさせるための演出だろう。……ンなわきゃない。