菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

極楽とんぼは死んだのサ・上巻

極楽とんぼが解散してしまったという話を聞いて、僕はすぐにレンタルビデオに行って、これを借りてきた。もう見れないかもしれないという危機感からだろう、大急ぎで借りてきた。大急ぎとはいえ、やはりレンタル料が安い日を狙って借りたのだが。そこは打算的というか、利己的というか。結局は自分の中で、極楽とんぼは通常レンタルの日に借りるほどの興味が無いということである……と、そんなことはどうでも宜しい。とにかくビデオを借りて、見たのだ。見たのだから、感想を書く。当然の様に。

収録されている映像は、すべて徹底的にテレビでは放送できないコントばかりだった。まぁ、それはビデオのタイトル『極楽とんぼのテレビ不適合者』から想像はついていたのだが……それにしても、やりたい放題であった。思えば、上巻のサブタイトルは『民放各局に拒否され実現できなかった企画集編!』。深夜枠でも放送できないと言われたレベルの映像作品なのだから、テレビに慣れきってしまった僕には衝撃的に映ってしまったとも思える……って、さっきから回りくどいナ。とっとと本編に触れる。

このビデオに収録されているコントは、先にも書いたように危なっかしいテーマのモノばかりだ。『万引き主婦』を取り扱ったコントでは、主婦を演じる山本さんと夫を演じる加藤さんのSMプレイのような危険な駆け引きに、思わず爆笑させられる。山本さんが乳を揉まれるシーンなんか、本当にトンでもない。まさかブラを装着していたとは……。他にも、明らかに某国出身の男が怪しい日本語でインタビューを受ける『○作員』、下ネタもあればナンセンスもある山本圭一と加藤の同級生によるフォークデュオ『ラガーメンズ』など、もう本当にやりたい放題の映像コント集になっている。しかし、まったく危険な匂いはしない。おそらく、他の若手芸人がこれをやったら、見ている人は引くのではないかと思う。だけども、極楽とんぼがやると、妙な安心感というか、変に「大丈夫だろう」という気持ちになるのである。二人が有名人だから、ということもあるのだろうが……それだけではない気がしないでもない。

きっと僕は、どこかで「極楽とんぼならやってくれるだろう」という期待感があったのだろう、と思う。例えばダチョウ倶楽部上島竜兵さんがテレビに出れば、熱湯風呂に入ってくれるだとか、程ほどにキレてくれるだろうとか、そんな期待と安心。それが、極楽とんぼに対してもあるのだ。タイトルのおかげで、ハードルが下がっていたというのもあるし。それらの映像は、極楽とんぼというプレーヤーの、ギリギリのショーだったと言えるのかもしれない。まぁ、結局のところ僕が何を言いたいのかと言うと。えー、面白かったと。そういうことでした。はい。良かったです。下巻にも期待したいと思います。