菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

志の輔落語。


立川志の輔師匠の落語、やっとこさ鑑賞し終わる。演目は三つ。三つしかないが、時間は二時間。じっくりと、三本の噺を観ました。その感想を書くわけですが……いや、実に……うーん……はい、感動しました。僕は今まで、コントの力を信じ、漫才の力を信じ、コメディ映画の力を信じてきましたが、いいかげん、落語の力を信じても良いんじゃないかと思いました。どうもダメだなぁ……桂ざこば師匠の落語で笑って、古今亭志ん朝の落語で笑ったのに……うーん……なんだろうなあ、これは。僕の胞衣の上を落語家が通ったとしか思えない……おー、落語が恐い。ンなこたどうでもイイか。

収録されている演目は、先にも書いたように三本。うち二本が創作落語「こぶ取り爺さん」「歓喜の歌」、最後の一本が「浜野矩随」という古典落語創作落語の現代劇で、そこで落語に慣れていない人を引っ張り込んで、古典落語の時代劇で更に噺の世界に誘う……という、実に巧みな構成。見入ってしまいましたよ、ホント。落語家の周りを7台のカメラがくるくる観察するように撮影しているのも、良い。落語の映像って、どうも固定カメラでひたすら撮影し続けるという印象が強いンだけども、これは実に良かった。飽きないように出来ていた。

彼の落語を見て、ふと気付いた。創作落語である二本よりも、古典落語である「浜野矩随」のほうが、まあ大団円ということもあるのだろうが、熱がこもっていたように思った。自分で作ったモノより、他人が作ったモノは無責任にやれるから、それだけ自由にやれる……というコトではないのだろう。おそらく、師匠である立川談志にキッチリ教え込まれたのだろう。実に、実にゾクゾクっときた。良かった。感動した。笑えた。落語ってのは、どうして、こうも凄いのかと感心した。感心しただけかもしれない。落語熱は、灯るか否か。分からんけども、とにかく言えることが一つだけある。次のDVDにも、期待します。だから、出してください師匠。