菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

吹く! 越す! 満ちる!

  • 吹越満(1990年、ソロアクト開始)
    • 吹越満(本名)
    • 収録時間:約105分
    • 2005年公演を収録。

吹越満は、一般的に言われる芸人ではない。活動の多くはテレビドラマや舞台活動である、役者である。自身も劇団出身である。ただ……その劇団の名前は、WAHAHA本舗である。あの、劇団員の多くが某宗教法人と繋がりがあるのではないかといわれている、あの劇団である。……あ、そうじゃなくて。WAHAHA本舗といえば、徹底的にバカなことを本気でやっている素敵な劇団である。そんな劇団出身の役者なんだから、タダモノであるはずがない。そもそも、一人で舞台をこなしている時点で、タダモノでないということを理解すべきなのかもしれない……って、前置きが長いな。今作は、そんな吹越満の2005年ソロ公演を収録したものである。
公演が始まってまず、巨大なバックスクリーンに驚いた。てっきりイッセー尾形のような一人芝居が始まるのかと思ったら、後ろに巨大な映像を従えている。なんとなく、かつてユリオカ超特Qが出演していた時の『エンタの神様』を思い出した。そのスクリーンの前で、吹越は一人コントをやるのだが、そのコントとスクリーン映像がリンクしているのである。例えば「黒から始まる作品」では、スクリーンを顔にハメた吹越が見ている世界が映し出される。例えば「カット・イン」では、一人コントをしている吹越の状況がカット・インして映し出される。例えば「ミツコシ フキル初監督作品」では……これはネタバレになるから、書かない。とにかく、スクリーンと舞台がリンクする。その可能性の広さがたまらない。映像と舞台の融合……その一つの完成型を提示したようなライブだった。そして、こうも思った。「このスタイルは、小林賢太郎が求めているところではないのか?」と。吹越満の完成度の高さに、小林賢太郎は届いているのだろうか。来年発売のDVDに期待したい。ところで、個人的にはバックスクリーンのあるコントよりも、その設定に感心してしまう「会議は踊る」が最も楽しめたのだが、如何だろうか。バックスクリーン褒めておいて、そんなオチかい。

「オープニング」「メイン・タイトル」「会議は踊る」「バック・ステージ1」「黒から始まる作品」「バック・ステージ2」「TITLES Ⅰ」「バック・ステージ3」「カット・イン」「バック・ステージ4」「擬音に関するいくつかの質問」「黒から始まる作品 2.」「バック・ステージ5」「ミツコシ フキル初監督作品」「TITLES Ⅱ」「黒から始まる作品 3.」「カーテン・コール」「バック・ステージ6」「エンディング」

ところで、このDVDの発売元はシティボーイズのライヴ公演を長年に渡り収録し続けているコロムビアミュージックエンタテインメントである。吹越氏の公演も、出来ればシリーズ化して発売してもらいたいものである。出来れば、の話。