菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『15弱』感想。

千原兄弟コントライブ「15弱」 [DVD]

千原兄弟コントライブ「15弱」 [DVD]

千原ジュニアのコントに驚かされた『囚』、それから千原兄弟のコントを初めてちゃんと観た『プロペラを止めた、僕の声を聞くために』。あと、最近買った『千原ジュニアの題と解』……2006年から2007年にかけて、僕はやたらと千原ジュニアの才能に驚かされ続けている。千原ジュニアには、面白いだけではない、なんとも言えない独特の雰囲気がある。それが心地良くもあり、不気味でもあり。そんな千原兄弟の、二人きりの単独ライブ。なんと、7年ぶりなのだそうだ。ワクワクするネ。収録時間は89分と、いわゆる単独ライブとしては短めだったが、それだけに濃いい内容だった。それにしても、やっぱり千原ジュニアは凄い……って、こういうことを書くと千原靖史は凄くない、みたいな感じに思われそうだが、そんなことはない。ただ、プレイヤーとして凄い人を褒めるより、発想の凄い人を褒めるほうが、楽なのだ。ご了承いただきたい。さて、もう一度褒める。千原ジュニアは、凄い。今回のライブで、千原ジュニアは全ての演目の作・演出を担当している。よく思いつくなあ……と。そろそろ本腰、本編に触れよう。
今回のライブに収録されているコントの多くは、ブラックユーモアに満ちている。頭にボーガンの矢が刺さったサラリーマンが騒がれている様子を描いた『矢ザラリーマン』。正月の演芸番組でも披露されていた『コイツ』。学校の先生が女生徒に成長期の身体の授業をしている様子をコミカルにした『世界の未来』。処刑台の首括り用の紐が解けたり届かなかったりで、なかなか死ねない死刑囚をコミカルに演じられた『しょけいだい』……等が、なかなか興味深かった。しかし、その中でも強烈なインパクトを与えたコントが、『マスカ!?』である。副音声によると、千原ジュニア自身もお気に入りのコントらしい。僕もかなり気に入ったというか、思わず見ていて「酷い…」と言ってしまった。それでも笑えるんだから、凄いなァ。
おそらく、千原兄弟の笑いの根本には「驚き」があるのだと思う。いずれのコントも、コントとしての展開ではなく、コント中盤から後半までの「驚き」がキッカケとなって、笑いが巻き起こるタイプのものだった。だから、千原兄弟のコントはブラックユーモアが多いのかもしれない……って、なんかクドい文章なのは、今日まで卒業論文を書いていたからであります。もう提出したので、今日からしばらく余裕があります。良い。

・収録内容(本編:89分)
「伯゜爵様」「矢ザラリーマン」「Yの新しいやつ」「コイツ」「黒子」「有限会社ダイトー」「世界の未来」「お蟹様サポートセンター」「しょけいだい」「ナイトラウンジ美鈴」「マスカ!?」「副賞として」「虫唾〜MUSHIZU〜」「通夜通夜通夜通夜通夜」「告別式」「罪と罰」
・特典副音声
千原ジュニア×松本真一構成作家)が「15弱」を振り返る。
・ライブ資料
2006年7月21日〜7月23日に紀伊国屋サザンシアターでの単独ライブ