菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

今野と高橋の『ハンディキャップ』

気狂いピエロ』という映画がある。まだ観たことはないが、おそらくキングオブコメディみたいな主人公なのではないかと思われる。……いや、冗談だけども。でも、この映画のタイトルほどキングオブコメディを表現するに足るフレーズは、他に無いのではないと思う……コンビ名はキングオブコメディなのにねェ。まあ、そんなことはどうでも良い。キングオブコメディの第4回単独ライブ『ハンディキャップ』の映像と特典映像を収録した単独DVD、その名もまんま『ハンディキャップ』の話である。『ハンディキャップ』では、二人の様々な姿を見ることが出来た。冒頭コント『誕生日』では、今野はいつものオカしいキャラクターではなく、クラス全体から食み出している少年の哀愁を感じさせるボケが印象に残った。その後の『誘拐』『ハッピーラジオ』『サイン会』も、何処か哀愁を感じさせられた。ボケの質は今までと変わらないのに、どうしてこうも切ないのか。キングオブコメディ自身が作り上げる世界観に、大きな変化が生じている気がする。それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないが。とにかく、彼らの中で革新的なことが起きているのではないか、と思った。いや、単独では昔からこうなのかもしれないが。一方、いかにも負け犬な二人組が織り成す情け容赦ないバカバカしい会話がたまらなく面白かった『出待ち』は、別の意味で新しい波を感じさせられた。どうしてこうも、人間の心を深くエグってくるのかなあ、このコンビは……特典映像は、未見。ちょこちょこ観たけれども、どうも個人的に好きではない「芸人に無茶をやらせて笑いを取る」パターンだったので、改めて見ようという気が起きないのである。本編が非常に素晴らしかっただけに、ただただ残念で仕方が無い。

・本編
『誕生日』『誘拐』『ハッピーラジオ』『サイン会』『出待ち』『日本代表』
・特典映像
『意地汚い高橋』『世界はじめてさん』『高橋健一の巨大魚を釣る』『今野浩喜の彩の国 埼玉大使への道』