菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑い笑われ『THE JAPANESE TRADITION〜日本の形〜』

THE JAPANESE TRADITION ~日本の形~ [DVD]

THE JAPANESE TRADITION ~日本の形~ [DVD]

今でこそ、アーティスティックで考えられたコントを作っているコンビとして有名な存在になったラーメンズ。しかし、昔からそうだったわけではない。かつてのラーメンズはそもそもコント師ではなく、漫才師だった。当時のネタは今では観られないが、かなり差別ネタや下ネタが激しい漫才を披露していたらしい(同事務所所属、エレキコミック談)。その傾向はコント師になって以降も、『日本語学校』などの作品に表れています。そんなラーメンズの差別ネタの集大成みたいな作品が、この『THE JAPANESE TRADITION〜日本の形〜』だと思うのですが、どうなんでしょうか。知ったこっちゃない? そりゃ失敬。じゃあ、本編の話に入ります……あ、ちなみに今回のDVDはNAMIKIBASHI名義です。
過去に『土下座』『鮨』『交際』*1などの映像作品を発表している『THE JAPANESE TRADITION〜日本の形〜』シリーズ。そのスタイルは主に「常識とされていることを、出来る限り理屈によって説明する」というパターン(『土下座』とかはこれ)と、「明らかに間違いと思われることを事実として説明する」(『鮨』とかはこれ)というパターンで笑いを取るものでした。で、本作。非常に後者のタイプの作品が多いです。それがいけないというわけではないのですが、どうも……物足りない。いや、もちろん『鮨』も面白いんですけど、『鮨』はあまりにもラーメンズ臭い作品なんですね。計算されつくしたタイミングで、計算されつくしたボケが出てくる感じが、どうも……。無論、僕もラーメンズ愛好家ですから、そういった映像で笑ったりもするのですが、やっぱりどうも、物足りない。決してダメではないんだけど、どうも個人的には合わなかった。たぶん、『土下座』よりも『鮨』が好きな人なら、とにかく笑える作品になっていると思います。ただ、僕は先にも書いたように『鮨』よりも『土下座』が好きな人間なので。全体的に、もうちょっとでしたね。それでも、なんとなく再生してしまうところが、恐ろしい。気付けば、なんとなく再生してしまう。不思議だなァ……。それにしても、十一本収録(ボーナストラック含む)されている作品のうち、十本に出演している小林賢太郎。別に文句は無いが、出たがりにもほどがあると思わなくもない。

・本編
『箸』『折り紙』『お盆休み』『夏休み』『おにぎり』『お茶』『謝罪』『宴』『手締め』
・特典
『土下座』『鮨』
・収録時間:約64分

*1:from「Jam Films2