菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

回れ回れ『人間風車』

これを笑いのカテゴリーに入れても良いのだろうか。……たぶん、良くないんだと思う。どちらかといえばサスペンス、或いはホラーに属する話だと思うので。ただ……舞台作品を入れるカテゴリーが無いので、便宜上は笑芸映像というカテゴリーにまとめることにする。さて、今回は後藤ひろひと作の舞台を鑑賞した。後藤ひろひとといえば、Piperでお馴染みの髭の男である。舞台人としては、片桐仁ラーメンズ)が出演していた舞台『MIDSUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人』の作家という印象が強い。いや、それ以外の話を知らないからなんだけども。で、その『ザリガニ魔人』が非常に面白かったので、今回のこれも面白いんじゃないかなー、などという呑気な理由で購入し、鑑賞しましたが……いやー、凄かった。兎にも角にも凄かった、人間風車であります。
さて、感想の前にちょっとしたストーリー説明を。主人公は童話作家平川入江雅人)なる人物。平川は童話作家だけれども、どうにも作品が良くないのか、売れない。まるで売れない。そんな平川の物語は、公園で子供たちに聞かせるだけのものになっていた。そんな日々を続けていた平川に、転機が訪れる。ひょんなことでアキラ永作博美)との出会いをきっかけに、ある素晴らしい作品を書き上げたのである。それから先はとんとん拍子の人生……と思いきや、そうでもない。ここから、平川をある悲劇が襲うのであった。
過去、笑わせてから落とすタイプのストーリーって結構な数があったと思うんですけど、個人的にこういう落とし方の作品は見たことがありませんでした。大体、こういう話のオチって、泣かせるのが落としどころだと思うんですよ。この話も最終的には泣ける感じですが、そのラストに至るまでの空気がとんでもない。物凄くピリピリとした、異常なほどの緊張感とでも言いますか。サム(河原雅彦)が意外な行動を始めるあたりから、もう……物凄い。それまでのほのぼのした展開が、一転してホラーサスペンス的な感じになったときは、本当に鳥肌が立ちました。いやー、凄い。面白凄かった。
それにしても、彼が殺されたシーンはショックだったなあ。他の二人はともかく、彼は悪役と呼べるほど悪いことを一切してませんから。どちらかというと、平川と最も仲良くやっているような役だったし。しかも、殺され方がまた……酷いンだよなァ。というか、あれで人って死ぬんだろうか。気になる。まあ、いずれにしても苦しいだろうなあ。ちなみに、元々の公演ではアキラも殺される予定だったらしいですな。あんまり観たくないなあ……。ちなみに、この公演は2003年バージョン。これより以前に2000年バージョンがあるらしいのですが、そちらはキャストが豪華です。前回のバージョンでは平川を生瀬勝久、アキラを斉藤由貴、サムを阿部サダヲ、子供(則明)を八嶋智人が担当しております。おぉー……いや、無論こっちがそっちより劣っているということはないと思いますが。2000年バージョンも観たいなあ。兎にも角にも、思い切って買ってみて良かったのでした。mixiで薦めてきた合田氏に感謝。……ただ、ちょっとトラウマが……。

・出演
永作博美入江雅人河原雅彦橋本さとし山内圭哉中山祐一朗、三鴨絵里子、宮吉康夫、岩橋道子、高木殊里、岩崎大(東京公演)、河原田樹(大阪公演)、宇梶剛士、山西惇
・特典
河原田樹(大阪公演)バージョンの映像
作・後藤ひろひと、演出・G2インタビュー
・収録時間:131分+特典24分