菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

小林の遺伝子を紡ぐ『泥棒役者』

泥棒役者 [DVD]

泥棒役者 [DVD]

このDVDを購入しない理由は、何処にも無かったのである。なにせ、主演は“コントの怪人”こと片桐仁ラーメンズ)と、“情熱的無責任”こときたろう(シティボーイズ)の両名である。おまけに脚本と演出を担当するのが、過去に小林賢太郎プロデュース公演に何度も出演している、“第二の小林賢太郎”こと西田征史である。購入しない理由は、何処にも無い。だから、購入したのである。二枚組でこの値段なら、それなりに納得も出来るし。そんなわけで、買いたてホヤホヤ・鑑賞したてホヤホヤの『泥棒役者』の感想に参りますよ。……と、その前にストーリー解説でも。
ある家に泥棒に入った三人。主がいないことを良いことに、部屋中をテキトーに探りまわる。ところがそこへ、出かけていたと思っていた本当の主人(きたろう)が現れる。うっかり主人に見つかってしまった泥棒の一人(片桐)がどうしようかと悩んでいるところ、主人はこうつぶやいた。「ひょっとして、編集の人?」。実は主人は童話作家の先生で、今日は新しい編集の人がやってくることになっていたのだ。泥棒は機転を利かせ。どうにか編集者に成りすます。ところがそこへ本当の編集者が現れ、事態はどんどんややこしい方向へ……。
話の雰囲気や流れは、もうそのままKKプロデュースと取り替えても遜色が無い感じになっており、ラーメンズファンがノンハードルで楽しめる感じの舞台でした。舞台自体も終始「笑いを取る」ことに集中していて、こっそり泣かせる場面もなんだかんだで笑わせる、というスタンスは非常に楽しめました。……この前に観た『人間風車』が、まだ頭に残っているのかもしれません。人間風車』は物凄く重たかったけれど、この『泥棒役者』は物凄く軽い。だから、『人間風車』で残っていたトラウマが、一気に浄化されたような……うーん、まるで『人間風車』を弾圧しているみたいですが、そんなことはないんですよ? どっちも面白い舞台でした。……話を戻します。あまりの軽さに「このままで事態が収拾されるのかしらん?」と思ったりもしましたが、それなりに良い落としどころに落ちて、良かったんじゃないかなー、と思いました。本編にチャプターが無いのは、ちょっと気になりましたが。面白いのなら、それで良いじゃない。吉本新喜劇とかが好きな人にも、割と向いているかもしれません。かなり力技で押し切ってますんで。兎にも角にも、いや、面白かったです。はい。

・キャスト
片桐仁ラーメンズ)、きたろう(シティボーイズ)、上野なつひ、小休暁、蛭子直和、ムロツヨシ、宮原将護、夏目航、石塚良博、植田靖弘呂、小島裕、手打隆盛
・特典
記者会見、出演者インタビュー、メイキング映像
・収録時間:DISC-1 約90分+DISC-2 約57分