菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

プレイバック『激ミルク』

BANANAMAN LIVE 激ミルク [DVD]

BANANAMAN LIVE 激ミルク [DVD]

突然だけども、これまでこのブログで取り上げていない作品を取り上げてみることにする。そんなわけで、今回はバナナマン『激ミルク』を紹介。ラーメンズのDVD-BOXのせいで、すっかりコント芸人に対して興味津々な人になってしまった菅家さん(当時18歳)。ラーメンズ以外に面白いコント芸人はいないのかしらと探してみたところ、どうやらラーメンズと同じ感じに取り上げられているコント芸人がいるという情報を目にしたのであった。で、それがバナナマンだったのだ。よし、それならバナナマンのDVDを買ってみよう、と思った小金持ちの僕(あくまで当時)。しかし、そうなるとどれから買ってみたものか……と思ったりもしたけれども、まあ店で見つけたヤツで良いかなあ……と思い、この『激ミルク』を購入したの韃靼。収録されているコントは全部で四本。更に特典として短めの舞台コントが四本収録されている。
一本目は『HIPPOPOTAMUS』。カバの飼育係が甥の頼みでカバについて講演を行うことになるというコント。日村と設楽の生活感のある演技が光ったコントで、舞台が本当に公民館の一室であるかのようだった。特に、最近はあまり見ることの出来ない設楽の演じる“飼育係の叔父さん”が絶妙。途中のやたらドラマチックな展開も、バナナマンらしい流れだった。二本目は『LOST NATION』。日本という国が過去のものになっている設定の世界で、ある二人が日本について語るというコント。ほぼ同じテーマのものをラーメンズ*1バカリズム*2がやっているが、これはこれでちゃんとバナナマンらしい設定になっている。劇中の設楽の「ああ、未来に行ければ良いのに……」というセリフは、バナナマンのコント史上でも屈指の名台詞。全体から漂う胡散臭い雰囲気は、なんとなく雑誌『ムー』を彷彿とさせた。三本目の『張り込み』は、爆笑オンエアバトル第三回チャンピオン大会で披露されたもの。基本的な内容は同じだが、番組ではカットされた下ネタは貴重……ではないか。タモリのくだりは何度見ても、バカバカしくて面白い。ほぼ日村の一人相撲になっているあたり、最近のバナナマンしか知らない人でも楽しめそうだ。四本目、シメを飾るのは『CLEVER HOSTAGE』。誘拐犯の日村と誘拐された設楽のやりとりをコミカルに描いたコントである。バナナマンのコントの中でもブラックユーモアに富んだ作品であり、『世にも奇妙な物語』の脚本にされてもおかしくはない内容になっている……タモリじゃねえよ!
こうして改めて観ると、この時期のバナナマンは様々な方向性のコントを作ることによって、自らのスタイルを模索しているように思う。事実、このDVDで披露されている四本のメインコントは、それぞれ全く違う方向性のものだ。ひょっとしたら、この四つのコントから、一つの主軸を見出そうと試みていたのかもしれない。……ただ、この四つの方向性は現在のバナナマンにも継承されている感があり、別に一つに限定しようとしたわけではなく、それら全てがバナナマンのスタイルとして存在していただけなのかも、かもかも。

・内容
『HIPPOPOTAMUS』『LOST NATION』『張り込み』『CLEVER HOSTAGE』
・特典
『THIRD PERSON』『赤えんぴつ』『演説』『ジャパニーズハートフルソング』『幸福の赤いえんぴつ』『エキストラ大器晩成』
・収録時間:67分+特典40分
・詳細:2001年2月、新宿・THEATER/TOPSにて収録

*1:地球の歩き方』from「study」

*2:『ジョン君』from「バカリズム 〜フルーツ〜」