菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

プレイバック『おちゃらけソーセージ』

おちゃらけソーセージ [DVD]

おちゃらけソーセージ [DVD]

21世紀以降のお笑いブームという現象を考えた際に、2003年という年は決して見逃すことの出来ない年であると言える。この年は、様々なバラエティ番組が終了した年だった。例えば、『電波少年』『笑う犬シリーズ』『松本紳助』など……高い人気を誇っていた番組が、その長い生命の鼓動を止めてしまう、そんな年だった(『松本紳助』は復活したけど)。ただ、その一方で様々な番組の放送が開始された年でもあった。アンガールズレイザーラモンを一般的にした『爆笑問題バク天』の放送が開始されたのも、この年。関東だけをハブるという特殊な放送範囲を決め込んだ報道バラエティ番組『たかじんのそこまで言って委員会』の放送が開始されたのも、この年。このように、2003年は実に様々なバラエティ番組の放送が開始されたが……その中でも、現在のお笑い系バラエティ番組を語る上で欠かせない、『エンタの神様』の放送が開始された年であるということは、忘れてはならない事実である。そして、この番組で高い人気を誇っていたコンビ、インパルス初の単独DVD『おちゃらけソーセージ』が発売された年であるということも、忘れてはならない事実である……前フリ長ぇ……。
さて。このDVDが発売された当時、インパルスは物凄く注目されていた。DVDが発売される前の年に『爆笑オンエアバトル』で初登場500オーバーという滅多に出ない記録を残し、『はねるのトびら』レギュラーとしても活躍し、『エンタの神様』でも注目され始める。そんな時期に発売された、『おちゃらけソーセージ』……そりゃ、注目されざるを得ない。いや、注目され始めたからこそ、発売されたと考えるべきか。
肝心の内容は、それなりに良い。まだテレビ露出が少なかったためなのか、ややコント師としての面持ちが感じられる。ただ、そのコントの深みという意味では、まだ甘い。とにかく板倉のキャラクターと小ネタありきで展開している感がある。また、彼らの出世作とも言える『取り調べ』が未収録だったということも、このDVDの価値を下げていると言わざるを得ない(ちなみに『取り調べ』は、2004年7月に発売された『球根』に収録されている)。とはいえ、当時は割りと一押しだったらしいキャラクターコント『保健室』や出オチをとことん引っ張り続けた『駐車場』、ブラックユーモアのお手本の様な『インターネット自殺』が観られるのは貴重といえるかもしれない。ただ、技術的には甘いが発想の鋭さが光った『球根』、発想の甘さをカバーするために技術力を上げた『球根Ⅱ』と同じくらいのクオリティは、ちょっと得られないかもしれない。

・収録内容
『オープニング』『万引きGメン』『保健室』『育児ノイローゼ』『駐車場』『企業スパイ』『インターネット自殺』『携帯ショップ』『エンディング』
・特典
『あつし君とゆかいな仲間たち』
『板倉君の持ち物検査』
・収録時間:88分+特典3分
・詳細:2003年8月7日、ヤクルトホールにて収録