菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

サブカルドリフ『BetterXX』

以前から、エレキコミックというコンビはサブカルチャー度の高いコンビだなあ、と思っていた。単独発表会(ラーメンズが単独ライブを「公演」と呼ぶように、エレキコミックは単独ライブを「発表会」と呼んでいる)では人気漫画やちょっとコアな音楽バンドの名前が頻出だったし、『爆笑オンエアバトル エレキコミック』には今立が恋人を放ったらかしにしてゲームをやり続けるような映像が幕間に収録されていたし。なにより、公演の音楽を担当しているのが曽我部恵一というのが、なんともサブカルっぽい。そのうち、公演のパンフレットを西島大介小田扉あたりに依頼するんじゃないだろうか……とすら思ってしまう。そんな、エレキコミックのサブカル臭さがいつもよりも強く滲み出ているなあ、と感じさせられた今回の第15回発表会『BetterXX』。ニヤニヤしながら鑑賞してみた。
今回はとにかく、オープニング映像からサブカルっぽかった。曽我部恵一の曲を歌いながら、夜の街(町じゃなくて、街なのだ)を練り歩く二人。これだけでも、なんだか一昔前の歌手みたいで、妙にサブカルっぽい。そこへ更に、ペンキで二人の顔や背景にCGのペンキで×マークを描きまくって、「ああ、もう完全にサブカルチャー的じゃん」なんてことを、サブカルについてあまり深く知らない身でありながら、思ったりした。
一方、肝心の本編は意外とオーソドックスな設定のコントが多かったように思う。わざわざ家から遠い場所にある本屋で本を買ったやついが、その帰り道で今立に捕まってアワアワする『帰り道』さまぁ〜ずの大竹みたいな口調のやついが、今立に次から次へと色んな保険を押し付けようとするやっつん保険』。引越し屋を頼んだら、物凄いおばあちゃんが来てしまった『しわのマークの引っ越し社』。どれもこれも、往年のドリフターズを髣髴とさせるくらいにオーソドックスな設定だった。そのオーソドックスな設定に時事ネタやマニアックなボケを乗せる(『フラガール』出てきたのはちょっとビビった)のが、いつものエレキコミックスタイル。実にニヤニヤさせられた。
ところがその中に、妙に異色なコントが一つ。そのコントとは、『漫画くん』なるタイトルのもの……もうタイトルがアレだもんなあ。『漫画くん』は文字通り、やつい演じる漫画大好きな“漫画くん”がコンビニでバイトをしている様子を描いたコントである。この“漫画くん”には、とにかく漫画の小ネタがじゃんじゃん出てくる。ひょっとしたら、ただ単に漫画っぽいネタばっかりが出てきているのかもしれないが、おそらく出典のあるものが殆どなのではないだろうか。その小ネタの中でも、あの某有名漫画家の書いたセリフを自分のセリフとして使った漫画さん、それに対するバイト仲間の今立のセリフが最高に面白かった。「パクったよー! あの裁判に電撃参戦したよ!」。このまま、サブカルチャー路線を突っ走ってもらいたいなあ、と切に思ったり。

・収録内容(90分)
『オープニング』『帰り道』『やっつん保険』『しわのマークの引っ越し社』『ブスまっしぐら』『どーせ無理音頭』『漫画くん』『やっつんだっつん』『エンディング』
・特典映像
『トキメキ大学入学式』『居酒屋三国志』『どーせ無理音頭(歌詞付)』