菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

ショートショート『深津絵里のblack comedy』

深津絵里のblack comedy ブラコメ [DVD]

深津絵里のblack comedy ブラコメ [DVD]

GyaOで配信されていたショートフィルム深津絵里のblack comedy』をDVD化した本作。レンタルビデオに置いてあったので、衝動的に借りてみたのだが、なかなか面白かった。ただ、コメディ作品としての面白さというより、映像作品として面白い。発売元の東北新社は、以前に『バナナマンのシャブリなコメディ』を発売しているところなので、予想してはいたけれども。収録されているのは、実写ショートが9本とアニメショートが11本。GyaOで配信された作品を全て収録したらしく、その収録時間は170分! これは長い。一枚のディスクにほぼ三時間収録のDVDなんて、僕は『ゲームセンターCX』のDVDくらいしか知らない。値段の割に頑張ったなあ……と思ったりする。
肝心の内容は……簡単に言うと「深津絵里による『世にも奇妙な物語』ショー」といったところ。タイトルにもあるが、そのストーリーの全てにブラックな要素が含まれているため、どうしてもそういう印象が残ってしまう。いや、悪いことではないんだけどね。
実写作品については、『しりとり』『女優魂』『会いたい』の三本が素晴らしかった。特に『会いたい』は、感動の要素にバカバカしいオチを上手く絡めた秀作だったように思う。『しりとり』『女優魂』は、シンプルにバカバカしい内容だった。これはこれで良い。アニメ作品は、いずれも傑作揃い。微妙にエロティックな『温めますか?』『透明だもの』、ステレオタイプなブラックコメディ『間の悪い男』『クローンクローン』『存在感』、後味が複雑な『微妙』『羊しか愛せない』『男と女と男』『永遠よ永遠に』……いずれも、その作品の見せかたが上手い。わざと雑にしてみたり、シャープにしてみたり、シュールにしてみたり。その発想よりも、演出の高さに、思わず何度か溜め息を漏らした。特に『微妙』は、オチが秀逸。恐らく、この作品を鑑賞した人間ならば、ほぼ全ての人が漏らしただろう言葉が漏れている。なんだか、にやっとした。
しかし、この作品の最も凄いところは、エンディングではないか、と思う。深津絵里を象ったようなキャラクターが、何故か生えている尻尾を周囲の連中に笑われて、しょげている。しかし彼女は、自分と同じような生物に出会い、その悲しさを解消する。このエンディングが、シンプルながら純粋で美しい。深津の歌うエンディングテーマ『ヘンなのかしら』も素晴らしく、その優しい歌声に魅了させられた。うーん、良い。もう、これだけのために買っても良い……いや、それは嘘だけど。
amazonでは酷評が厳しい本作だけれども、内容のクオリティはそれほど低くはない、むしろ購入しても良いレベルくらいには高かったと思う。いや、僕はレンタルで済ませたけれど。うーん……良いんじゃないかなあ、と。うん。深津さんの声、綺麗だし。『バナナマンのシャブリなコメディ』のノリが好きな人は、是非。

・出演
深津絵里(出演・声優)
・内容(GyaO配信順)
『TAXI episode1』『女優魂』『男と女と男』『温めますか?』『罪深い女』『TAXI episode2』『しりとり』『羊しか愛せない』『間の悪い男』『告白』『ブラコメ英会話』『The Audition』『微妙』『存在感』『TAXI episode3』『永遠よ永遠に』『シェルター』『クローンクローン』『透明だもの』『会いたい』
・収録時間:170分