菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

深海の如く。『笑う超人』

笑う超人 立川談志×太田光 [DVD]

笑う超人 立川談志×太田光 [DVD]

立川談志が言っていることが、よく分からない。恐らく、物凄いことを言っているのだろう、とは思うのだけれども。僕の読解力の無さ故か、それとも談志師匠のイリュージョンな喋り方が良くないのか、どっちが原因なのかは分からないけれど。過去、談志師匠が言っている芸論というのを、どうも僕は理解できないままでいる。それが、なんとも歯がゆい。そんな僕に試練を与えるかのごとく、発売された『笑う超人』。このDVDは、簡単に言うと太田光爆笑問題)が立川談志の説教を粛々と聞くシーンに、別撮りした談志師匠の無観客状態での落語を挟み込むという、なんだかNHK的な作りになっている。
ちなみにこのDVD、企画・演出を担当しているのも、太田光だそうな。それだけ太田も力を入れた作品、ということなのだろう。しかし、どんどん文化人みたいになっていくなあ……演芸評論家には“第二のたけし”みたいに持ち上げられているけれど、それを無意識のうちにプレッシャーに感じているんじゃないかしら。最近の爆笑問題の漫才に物足りなさを感じている僕としては、もっと肩の力を抜いてほしいンですけどネ。なかなか上手くいかない。なんか、“革命派の松本人志、保守派の太田光みたいになってきているナ……っと、余談が長くなってきた。話を戻します。
さてさて、とにかく今回のDVDはジャケットで「太田、オレはお前に伝えとかなきゃならねーコトがある。」と談志師匠も申しているように、芸談がメインのものであるのだけれど、前述の通り、僕は談志師匠のイリュージョンな話し方がどうも苦手というか、理解するための読解力を持ち合わせていないので、なんともかんとも。談志師匠自身の書籍は、なかなか読めるンだけどなァ……。縦横無尽に話題が展開するから、なんともかんとも。……いや、僕の集中力の問題かなあ、これは。どうも僕は、お笑いのDVDを観るときにあまり緊張感を持たないので(普通の人はそうだと思うけれど)、この独特の緊張感を持つ師匠の話を聞いていると、どうも意識が別の方向へ飛んでいってしまう。前に『紳竜の研究』を観たとき、それに収録されていた島田紳助氏の芸人講義も、あまり理解せずに観ていた記憶がある。とりあえず目を通しておけって感じで。こういうのは本で読みたいよなァ。あれなら、呑気に読み返せる……まあ、そういうわけで、談志師匠の芸談については、あまり記憶に残っていない。こういうのはもろ藤さんとか、そういう分かっている人に任せとこう。あんまり真剣に読み解こうとすると、このブログの立ち位置が危ぶまれそうだから……うん。ただ、ガンモドキの裏でないほうが表、表でないほうが裏。これは真理だよな」という談志師匠の言葉は、なんだか印象に残っている。なんでだろう。
さて、肝心の落語につきましては……いやあ、今回初めて僕は談志師匠の落語を目にしたのだけれど……うーん、凄かった。いや、何が凄いと言いますか、んー、あまり落語について詳しくない僕があーだこーだと書くのがオコガマシイくらい、凄かった。最近のお笑いが笑顔で相手の懐を刺すような類いなら、この談志師匠の落語ってのは、のっけから首根っこに掴みかかってくるのだけれど、逃げることが出来ないハクリキなんだよな、うん。『黄金餅』の、銭を餅と一緒に飲み込む坊主の姿なんか、まさにそう。苦しそうで観てらんない、けれど目が離せない。対談は分からなかったが、この芸をリーズナブルな価格で見られる機会を作ってくれたことは、本当、太田光に感謝しなくちゃなんない……うー! ダメだ! 僕みたいなシロートじゃ、この凄さが文章で表現できない! 見る前から予想は出来ていたけれど、僕は底が浅い! これを語るには、浅すぎる! ……なので、偶然にも見つけた『笑う超人』の感想を書いている人の記事無断リンクすることで、茶を濁すことにする。読者及びリンク先の記事の方。どーも、すいません(軽いなオイ)。

・演目
『黄金餅』『らくだ』
・特典
『鼠穴』(2006年12月時事通信ホール収録)、落語解説本
・収録時間:約102分+特典47分