菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

最後のバカルディ。『少年と犬と公園と私』

バカルディライブ「少年と犬と公園と私」 [DVD]

バカルディライブ「少年と犬と公園と私」 [DVD]

この公演で、バカルディが終わる。この次の公演から、彼らの名前はさまぁ〜ずになる。この時点では、まだバカルディという名前を改名するとは思っていなかっただろう。でも、何故かこの公演、全体的に終末の様な雰囲気を醸し出している。なんだろうなあ。映像のせいかもしれないけど、全体的に暗い。夕暮れっぽいというか、夜に近付いているような印象。そのせいか、元々ややダウナーなバカルディのコントが、いつもに増してダウナーなような。……雰囲気でしか語ってないなあ。まあ良いや。とにかく、これが最後のバカルディ『少年と犬と公園と私』である。今回の公演は、長い四つのコントによって構成された公演だ。勿論、各コントがジワっと繋がる構成になっている。
前回の公演『なまたまごかけ御飯』が傑作だったためか、今回の公演はちょっと笑いを堅実に取っている印象。特にボケ役の大竹は、台本通りに展開させようとしているようだ。……ひょっとしたら、演技とアドリブの差が曖昧なだけかもしれないけれど。でも、これまでの公演でも披露してきた類いのボケも少なくなく、抑えに来ている感は否めない。一方、ツッコミ役の三村は「○○かよ!」というツッコミを出し始めている。どうやら、この頃から独特のツッコミが評価され始めたらしい。ちなみに、この公演が行われたのは1999年7月。彼らが『笑わず嫌い王決定戦』に初めて出演したのは1999年8月。収録時期を考えると、収録後の公演だったのかもしれない。
今回の見せ場は、なんといっても最後のコント『少年と犬と公園と私』だ。表題作でもあるこのコントは、離婚して別れてしまった母親(大竹)が、数年ぶりに子供(三村)の様子をこっそりと見に行く、というもの。子供は母親の顔なんか覚えていないし、母親は子供に母親であることを告げてはいけないから、子供は大竹が母親であるということには気付かない。でも、母親は子供に「お母さん」と呼ばれたい。だから、「お母さん」と呼ばせるために、色々と試行錯誤するんだけど、その様が哀しくも面白いことに……って、これもまた『12.24』パターンだ。でも、だんだんと見せかたが上手くなっていて、良い。いちいち子供の反応で、母親が感動するたびに流れる音楽とか、面白くって仕方ない。なんとなく、レッド吉田みたいなボケなんかも繰り出されたりして、ホント楽しい(まだ『内村プロデュース』は始まってないけど)。この演目で、バカルディの最後を締めることが出来たって言うのは、なかなか素晴らしいことだよなあ、と思ったりなんかするぞ。うん。
ちなみに、特典映像の『銀行強盗』は、バカルディのライブDVDに収録されている特典映像の中でも、珠玉のバカコント。このコンビはやっぱり、ちょっと自由な場でボケるほうが映えるよなあ。……いやいや、この公演は好きですよ。ホント。

・本編(78分)
『転校生 〜まさる君〜』『オープニング(VTR)』『電気屋さんが来た日』『おとなの絵描き歌』『鉄板焼きの男たち』『こどもの絵描き歌』『布袋』『少年と犬と公園と私』『床山小学校 〜校歌〜』『エンディング(VTR)』
・特典映像(6分)
バカルディ傑作コント『銀行強盗』

さまぁ〜ずについては、そのうち。