菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『徹底解明シリーズ第1弾 ムーディ勝山の謎を追え!』

徹底解明シリーズ第1弾 ムーディ勝山の謎を追え!徹底解明シリーズ第1弾 ムーディ勝山の謎を追え!
(2008/06/11)
ムーディ勝山

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とりあえず最初に言っておくと、この作品はムーディ勝山の面白さを追求したものではない。ムーディ勝山は単に謎の存在として持ち上げられているだけで、メインはそれを追いかけるジャーナリスト勝切譲(勝山慎司勝山梶)とその助手(津田篤宏/ダイアン)のドタバタ珍道中だ。特に津田の中学生っぽいハイテンションな演技は、やたら下らなくって面白かった。ただ、それってどうなんだろう。

仮にも、この作品は“ムーディ勝山”もとい“芸人・勝山慎司”を主人公としたものである。それなのに、この作品には勝山慎司ならではの味が無い。例えば、これが“ムーディ勝山”ではなく“世界のナベアツ”でも成立していたのではないだろうか。それほどに勝山慎司という芸人の姿は、本編で見つけることが出来なかった。

どうして、ここまで芸人としての存在感が希薄なのか。特典映像に収録されている勝山梶の漫才を観て、その理由がハッキリと分かった。勝山当人もそうなのかどうかは分からないが、少なくとも勝山梶の漫才はとても酷い。つまらないという意味ではない。酷いのだ。梶どころか観客すらも置いていってしまう勝山の飛び出しすぎたボケは、ボケと呼ぶにはあまりにもお粗末だった。これをそのまま映像化すれば、もっと酷いことになっていただろう。もちろん、彼らがまだ漫才師として成長段階であることは理解しているつもりだ。ただ、それでも酷い。もうしばらく世に出さない方が良いのではないかというくらい、拙い。

そのことを作り手も意識しているのか、本編には旬な芸人が何人か出演している。新しい世界を開拓し続けるコント師ジャルジャル。ナンセンスな世界観が魅力のラララライ体操藤崎マーケット。中小企業を愛する男、西森洋一モンスターエンジン)。そこに、演技力に定評のある友近を加えた豪華メンバーとなっている。更に副音声には、関西漫才界新進気鋭ツッコミ師、ブラックマヨネーズ小杉竜一を迎えている。まるで、勝山の芸人としての脆弱さを、周りが一生懸命にフォローしているかの様だ。

このDVD自体は、それなりに面白かった。にやっとした場面もあったり、声を出して笑った場面もあった。でも、これを今になって発売する理由はあったのだろうか。発売時期としても、かなり微妙なタイミングだ。ブームに乗っかっての発売にしては遅すぎるし、ブームが終わった後の軌跡にしては早すぎる。個人的には、もっと遅くても良かったのではないかと思う。実力的に。

最後に余談。ジャーナリストの名前はオダキリ・ジョーから取ったらしいが、本編の勝切は、むしろ阿部寛っぽかった。声が低いところも似ているし、どうせなら阿部寛っぽい名前にした方が良かったのでは。


・本編(56分)

・特典映像(55分)

「完全密着メイキングシリーズ ~ロケ日のある一日を追った~」

「予告編」

「40秒スポットCM集(日本語Ver./韓国語Ver./スペイン語Ver.)」

友近熱演 ムーディドラマ」

「ダイレクトインタビュー ムーディ勝山vs勝切譲」

「MDS48リハーサル完全版」

勝山梶漫才 完全版」

「未公開シーン~MDS48第3期メンバーオーディション~」