菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『バナナマン傑作選ライブ bananaman Kick』全ネタ雑感(総評補充)

バナナマン傑作選ライブ BANANAMAN KICKバナナマン傑作選ライブ BANANAMAN KICK
(2008/07/23)
バナナマン

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バナナマンは、今年で結成十五周年になるのだそうだ。普段、彼らのことをテレビで見ている人にとってみれば、この芸歴は長めに感じるかもしれない。でも、なんだかんだで、彼らの芸歴は長い。ボキャ天ブームをスルーし、オンエアバトルで活躍し、内村プロデュースでタレントとして開花し……振り返るのは簡単だが、その歴史は平坦ではない。

そんな彼らが行った傑作選ライブ。結成十五周年だからだと思ったが、そういえば二年前にも似たようなライブをやっているので、たぶん、無関係なんだろう。そういうマイペースなところが、なんともバナナマンらしいというか、なんというか。しかし、そうなると、こういうライブは今後もしばらく続くのだろうか。

今回のライブでは近年のライブからのチョイスが多いためか、収録されているコントは全部で五本と、かなり少ない(前回の傑作選では七本が披露された)。特典映像も無く、ライブDVDとしては、かなりシンプルな内容になっている。なので、全ネタ感想……というか、雑感で参ります。ちなみに、テーマソングは『Spicy Flower』から引き続き、SAKEROCKが担当。

『宮沢さんとメシ』(from『kurukuru bird』)

先日のテレビ番組「笑・神・降・臨」でも披露されたコント。確か、年末の爆笑問題の番組でも披露していたので、彼らの一押しなのではないかと思う。基本的な流れは「笑・神・降・臨」のそれと変わらないが、日村のツッコミがちょっと過剰になっていた気がする。ホリプロコムに移籍して以後、どうもさまぁ~ず三村みたいになってきているな。どうでも良いけど、このコントのタイトルに違和感を覚えているのは、僕だけなのだろうか。む。

『ルスデン』(from『private stock』)

日村が家の留守番電話を聞き続けるという、実質一人芝居なコント。それほど携帯電話が普及していなかったから出来たようなコントだったけれど、今回はその辺りをフォローする改変もしっかりと挟み込まれていた。なんだか時代の流れを感じるな。これ以外にも、日村がダジャレを繰り出したり、留守番電話が巻き戻る時間の長さで笑いを取っていたり、ちょっと小ネタが増えている。中盤からオチまでの狂気的な流れは、今のアットホームな芸風と比べると、やや異様。ただ、やっぱり昔のネタの鋭さは良い。今のネタも好きだけどね。

『a scary story』(初期作品)

DVD未収録コント。オンエアバトルでも披露された「怖い話」のネタ。元のネタがどうだったのかは分からないけれど、やたら設楽の話術の無さを演じる力の高さを感じるコントだった。ここ数年、設楽が空気を読めない人を演じるコントが増えているので、今の彼らにはピッタリなチョイスだと言えるのかも。……というか、元祖か?

『puke』(from『pepokabocha』)

設楽の家の床にうっかり汚物を吐き出してしまった日村が、必死に隠し続けようとする……という、バナナマン史上最も下品なコント。日村の奮闘ぶりもさることながら、そんな日村をポカンとした顔で見る設楽の演技も素晴らしい。小ネタもちょっと増えている感。でも、やっぱりあのオチは……。しかし、傑作選ライブでこのコントをチョイスした人って。なんだか凄いな!

『Fraud in Phuket』(from『Elephant pure』)

関係が冷え切った夫婦が、かつて互いを愛し合っていた頃に訪れたプーケットにやってくる……というコント。設楽・日村がともに一人二役を演じるコントは他にも数作あるけれど、前回の傑作選で披露された『恋人岬』と本作はその至極。狂言誘拐の展開はちょっと無理矢理感があるけれど、なんだか温かい終わり方は割と好きだ。ここは他のコントと違い、殆どオリジナルのまま披露されていた感。元のネタのクオリティの高さを感じる……というか、二人がオリジナルのコントを愛しているんだろうなあ。

・総評

コント自体については、申し分無し。『宮沢さんとメシ』がかなり最近のコントだったのが気になったけれど(副音声によると、当人達も最後まで切るかどうかを悩んだらしい)、大きな改変も無く、前回の様な気の緩みを感じることもなく、「傑作選」という名に相応しい出来映えだったと思う。今のバナナマンならではって感じに、ちゃんと仕上がっていたな。

ただ、如何せんネタ数が少ない! 先にも書いたけれど、前回の傑作選では七本のコントが披露されていたのに対し、今回では五本しか披露されていないというのは、やはりちょっと少ないのではないかと思わざるを得ない。……まあ、最近の単独も一回に六本の新作コントしか披露されていないのだけれど。でも、五本って数はやっぱり少なく感じるよなあ(それで収録時間が二時間オーバーって、凄いよなあ)。

恐らく、また何年かしたら、また傑作選ライブが行われると思うのだけれど(『bananaman Chop』みたいな)、その時はもうちょっとネタ数を増やしてほしいな。というか、もうちょっと初期のネタを多めにやってほしい。前回だって二本の過去ネタ(『スライドボーイズ』と『ベースのタク』)を披露していたんだから、今度もそのくらいは……と、注文をつければキリが無いけれども……うーん。そこだけが、ちょっとばかり気になったな。


・本編(124分)

・特典:副音声(バナナマン・オークラによる解説)