菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂『慶 合言葉はチュリッス』

笑魂シリーズ 慶 「合言葉はチュリッス  」笑魂シリーズ 慶 「合言葉はチュリッス 」
(2008/07/23)


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今更な話で悪いのだけれど、どうしてこうもテレビが見世物小屋の様な状態になっているのか。普段はそれに肯定的な僕だけれど、今日はなんとなく気分が違うから、こういうことを書いてみたりしているんだけれど。実際のところ、本当にどうしてこんな時代になってしまったのかなあ、とか思ってしまったりしている。

僕がお笑いを見始めた頃は、まだキャラクターを演じている芸人はそれほどいなかった筈なのだけれど。いつの間にか、まるで遊園地の着ぐるみショーを観ているかの様に、テレビバラエティを見ている。で、その着ぐるみが脱がされている様子を見て、笑ったりしている。悪趣味だなあ、なんだか。その流れの中、かなりの芸人がもがいて、苦しんで、そのまま水面に上がっていったり、沈んでいったり。それが芸能界とはいえ、なかなか辛いものである。

で、だ。慶もまた、“チャラ男”というキャラクターを演じている芸人だ。ネタをしているときも、トークを展開しているときも、常に“チャラ男”を演じている。まさに、典型的なキャラ芸人だ。披露しているネタも、基本的に自身が“チャラ男”であることを前提としたコントで、なんともオーソドックス。狩野英孝の“イケメン”を感じさせなくもない。ただ、慶と狩野には明らかな違いがある。

狩野のコントは「狩野演じる自称イケメンが、ナルシストな言動のために他者から嫌われている様」を笑っている、いわば自虐的な笑いだ。それ故に、どうしても狩野のコントにはネガティブな空気が弱冠流れてしまう(まあ、それも笑いになっているので、それはそれで良いと思うのだが)。一方、慶のコントは「慶演じるチャラ男が、特有の軽率な言動で場を掻き乱す様」を笑っている。これも、ある意味では自虐的な笑いだと言えるのかもしれない。ただ、慶の場合は狩野と少し違う。慶が演じる“チャラ男”からは、微塵もネガティブな空気が流れてこないのだ。古い言い方をするならば、非常に「あっけらかん」としているのである。

その「あっけらかん」としたキャラクターは、ネタ以外の部分でも有用だ。本編には、慶が母校に帰る企画映像『チャラ男母校に帰る』という映像が収録されているが、そこに映し出されている慶の姿は、常に“チャラ男”のままである(念のために書くが、この映像はコント的に撮影されたものではなく、本当に慶が母校に帰るだけのドキュメンタリー映像になっている)。その有用っぷりを見ると、ひょっとしたらバラエティでも使える芸人なのではないかと思うのだが、どうだろう。

ここから先は推測になるんだけれど、恐らく慶はチャラ男に対してちょっと冷めた目で見ている。事実、ネタ中で「チャラ男は……うぜえ!」とか言っちゃってるし。あくまでキャラクターとして割り切っていると言うか、自己とキャラを区切っていると言うか。実は、物凄く冷静な内面の人なんじゃないだろうか。

今後の活躍に、ちょっと期待。


・本編(42分)

『チャラ男パラパラ1』<チャラ男母校に帰る1>『チャラ男刑事』『チャラ男ドクター』<チャラ男母校に帰る2>『チャラ男コール featパラパラ』<チャラ男母校に帰る3>『チャラ男先生』『チャラえもん』<チャラ男母校に帰る4>『チャラ男パラパラ2』

・特典映像(19分)

『チャラ男母校に帰る「特別授業」』

『デビュー曲「チュリッス・チュリッス」プロモーションビデオ』