菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『オモローのナベアツ』

オモローのナベアツオモローのナベアツ
(2008/10/30)
世界のナベアツ

商品詳細を見る

 世界のナベアツのネタは、面白い。彼がテレビの中で披露しているネタの多くは、とてもシンプルで、しかも殆ど外れが無い。彼の代表作である「3の倍数と3のつく数字のときだけアホになる」の様に、余計なものは全て取り除き、その笑いの方程式に必要な数字だけを当て込んでいる。余計なものは微塵も無い。まさに無添加。

 それは他のネタにおいても同様のことが言える。自信満々に声だけで風船を割ろうとして失敗し続ける『声カッター』もそうだし、ボードに書かれた文字の雰囲気を正確に声で表現する『正しく読まナイト』もそう。失敗したときの恥ずかしさをB'zの曲で誤魔化す『ウルトラソウル』も、笑っているのか泣いているのか分からない顔をし続ける『笑ってる?泣いてる?』も、全てそう。その意味で、ナベアツの笑いはバカリズムジャルジャルと同じと言える。

 しかし、じんわりと観客を自己の世界に誘うバカリズムジャルジャルに対し、ナベアツの笑いは瞬間性が強い。昨今のショートネタブームに照準を合わせたかのような彼のネタは、ほんの一分二分の間に観客を自己世界へと手繰り寄せ、笑いの渦へと巻き込んでいく。それはまさに、匠の技と言えなくもない。

 そんな匠の技を粋を詰め込んだ、この『オモローのナベアツ』。確かに一本一本のネタは、非常にクオリティが高い。強烈なインパクトがあるし、それでいて、じわっとナベアツ特有の狂気も滲み出ている。ただ、如何せん、ネタを詰め込みすぎているのではないかと思わなくもない。なにせ、収録時間が120分だ。そこに短いネタが、五十本近く詰め込まれている。正直、全編通して観てみると、ちょっとしんどい。

 サービス精神旺盛なのは結構なことだが、もうちょっとバランスというものを考えても良かったんじゃなかろうか。二本に分けて発売するとか、息抜き用の映像を入れるとか(映像ネタは何本か収録してるけど、全然息抜き出来ねえ!)。ちょっとナベアツのネタを観たいという人は、レンタルで十分。思いっきりナベアツの濃い部分を感じたい人は……買っても良いかも。うーん。


・本編(120分)

『3まつり』『ウルトラソウル』『正しく読まナイト』『竹馬アイドル』『ギャグのナベアツ』『コスプレ』『アドベンチャー3Dシアター』『3まつり』『スーパーボイシスト』『お面』『九の段熱演』『遊々亭えんぞう』『ウルトラソウル2』『くいしん坊!NOT DEAD』『うらしまたろう』『ギャグのナベアツ2』『ワイワイプン』『3まつり』『トイレの達人』『笑ってる?泣いてる?』『小さい10cmのおっさん』『ほーい!ねん丸』『ロックのナベアツ』『202号室の住人』『体内時計』『眠れるCD』『ギャグのナベアツ3』『アドベンチャーアトラクション』『3まつり』『ナベアツフォーマー』『笑ってる?泣いてる?苦しんでる?』『ロックのナベアツ2』『おにぎりの夢』『カンゼツシキゴカイボウ』『ナベアツVS童謡』『虹とひとつになった男』