菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂『バナナチェリー』(ロッチ)

笑魂シリーズ ロッチ 「バナナチェリー」 [DVD]笑魂シリーズ ロッチ 「バナナチェリー」 [DVD]
(2008/12/03)
ロッチ

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ロッチのコントは、なんだか不思議だ。繊細で緻密に見えることもあれば、投げやりでぞんざいに見えることもある。シュールになろうとしているのか、それともベタになろうとしているのか。計算してやっているようにも見えるし、ただテキトーにやっているだけにも見える。そんなどっちつかずな彼らだが、実力派と言われている若手芸人たちとともに『THE THREE THEATER』に出演し、高く評価されているとも言う。ロッチよ、君たちは一体何者だ?

そもそも彼らは、それぞれコンビを結成するよりも以前から、芸人としての活動を始めていたようだ。コカドケンタロウはNSC14期生(1994年10月)で、フットボールアワーと同期に当たる。一方の中岡創一はNSC16期生(1995年10月)で、浅越ゴエと同期に当たる。二人はそれぞれ、ギャルソンズ(ナベプロ)・3児(吉本興業)というトリオを結成していた。ちなみに、ギャルソンズは後にコンビとなって、爆笑オンエアバトルで一度だけネタがオンエアされている。その後、それぞれのトリオは解散し、ロッチが2005年に結成されたわけだ。ちなみに、ロッチのコントはコカドが創作しているらしい。

既に先にも書いたように、ロッチのコントは不思議だ。『路上詩人』『タトゥー』の様に、様々な準備されたボケが炸裂するコントもあれば、『大声コンテスト』『腹踊り』『マジック』の様に、一つのシチュエーションを徹底的に遊ばせたコントもある。それなのに、そのいずれもがしっかりと、ロッチのコントとして完成されている。果たして、その理由は一体何なのか。

それは恐らく、ロッチのコントがいずれも人間の性をコミカルかつ悲哀たっぷりに描いているからではないか、と考えられる。オーロラよりも女性のパンチラに心を奪われてしまう男たち、万引きされたことに腹を立てつつも、自分がプロデュースした弁当を褒められて嬉しい気持ちを抑えられない店長、深い理由でタトゥーを入れてみたけれど、カッコつけたくてヒマで入れたフリを続けている男。それらのキャラクターたちが醸し出す、人間のどうしようもない性がロッチのコントでは活きている。

今作で披露されているコントは、そのいずれもが短い時間の中で披露されている。しかし、ロッチの様なスタイルのコントは、時間が長くなれば長くなるほど、味わいが滲み出てくるのではないかと思う。今、ロッチはコント師として、確実に注目を集め始めている。この勢いで、来年には単独ライブDVDでも出してくれれば嬉しいのだけれど……どうだろうなあ。長いコントとか、作れるのかなあ。


・本編(36分)

『大声コンテスト』『オーロラ』「GAME1」『腹踊り』『路上詩人』「GAME2」『万引き』『マジック』「GAME3」『タトゥー』『バナナチェリー』

・特典映像

「GAME」(幕間映像)