菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『流れ星 単独ライブDVD~岐阜浪漫~』

流れ星 単独ライブDVD~岐阜浪漫~流れ星 単独ライブDVD~岐阜浪漫~
(2008/12/10)
流れ星

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相変わらず、バカだなあ。

今の時期って、どんな芸人の漫才を見ていても、なんとなくM-1っぽさを意識してしまうようなところがある。ああ、あのコンビはM-1に向けてネタを作ってるんだなあ、とかいうの。そういうのを、今はどうしても感じてしまうんだけど、流れ星の漫才を見ているときは、もうそういうのが全部吹っ飛んじゃう。だって、もうバカとしか言いようがないんだもん。普通の漫才師なら、確実に避けていくだろう部分を、彼らはどんどん突き進んでいくんだよ。本当に、バカとしか言いようがない。

で、流れ星の凄いところは、そんなバカなネタばっかり作ってるのに、ちゃんと客のことを意識したネタになってるってところなんだよね。例えば、ちゅうえいのボケに漫画ネタがちょくちょく挟み込まれていたりするんだけど、それが決してマニアックなところに走ったりしない。それが、凄い。伊達に『爆笑オンエアバトル』で無傷の十九連勝なんて記録、残してない。たぶん、ストリートで漫才をやっていた経歴が、良い基礎を作り上げているんじゃないかと思う。そういうところで、観客を惹きつける能力を身につけたんだろうね。

今回のライブでも、かなりムチャクチャな漫才をやっていて、例えば『夏休み』って漫才があるんだけど。どういう漫才なのかというと、ツッコミ役の瀧上が、夏祭りに彼女を連れてデートに行きたいって話をするんだけど、それを受けて、ボケ役のちゅうえいが、じゃあお前の夢を叶えてやるよって言って、お祭りに行くコントを始めるっていう、そういう漫才なのね。で、そのシチュエーションだけだったら、割とよくあるじゃない。彼女が出来たら○○したいっていうのは、もう凄いオーソドックスなテーマじゃない。でも、流れ星が凄いのは、そのシチュエーションをちゅうえいが、瀧上が演じる彼氏以外の役どころを、全部演じちゃうんだよね。だから、彼女役は当然やるし、夜店のオッサンもやるし、お面屋のお面もひとつひとつやるし、御神輿を担いでいる人もやるっていう。

しかも、これを横移動しながらやるんだよね。カップルがお祭り会場を歩き回っているっていう設定だから、彼氏を演じている瀧上が足踏みしている横を、ちゅうえいがカニ歩きしながら通り過ぎていくっていう(笑) 凄い下らない、下らなすぎて普通の漫才師なら絶対にやらないようなことを、彼らは漫才でやってくれるんだよね。そこが、流れ星のバカなところで、強みでもある。

前に元猿岩石の有吉さんが、お笑い学校を卒業した芸人さんのことを、「変に漫才が上手かったりする」とか言って批判……というか愚痴っていたけれど、流れ星の漫才って、まさにその逆なんだよね。漫才の組み立て方を学校で教わっていないから、自由な発想でバカバカしい漫才を全力でやれる。タブーが無いんだよね、基本的に。おっぱいネタとか、下ネタとか、小学生がやりそうな低レベルなヤツだけれど、平気でネタに突っ込んでくるし。そういう、良い意味での洗練されていない感じが、流れ星にはある。

ショートネタブームの中で、単なる一発ギャグ芸人としての印象しか持たれていない気がする流れ星だけど、実は漫才こそ彼らの真骨頂。一発ギャグが面白いと感じてくれた人には、是非、今作も観てもらいたい。確実にバカだと思えるから。で、バカだと思った後で、そのバカさが心地良く感じられるようになるんじゃないかと思う。

あと、何気に幕間映像が下らなくて面白かったなあ。「イケメンはいつまでイケメンでいられるのか」とか言って、瀧上にラー油をぶっかけたりとか、休みの日のちゅうえいが何をしているのか、こっそり追いかけた体のコント映像とか。特に面白かったのが、前の仕事で大遅刻をしたちゅうえいに、学園祭への出演のために訪れた北海道を満喫させないという罰ゲーム映像。ある意味、ドキュメンタリーだよね、あれは。

(試験的に、語り口調で書いてみました。如何でしょうか)


・本編(80分)

「オープニング」『修行』「イケメン」『うなぎ』「一発ギャグ屋」『結婚』「北海道(前半)」『夏休み』「北海道(後半)」『岐阜』『おまけ』「特典映像「反省会」」

おまけでは、レッドカーペットでお馴染みのアレを御披露。