菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

髭男爵 単独舞踏会『ボンジュール ~お姉さんのロンドン留学の話がなくなってもいいのかい!?~』

髭男爵 単独舞踏会「ボンジュール~お姉さんのロンドン留学の話がなくなってもいいのかい!?~」 [DVD]髭男爵 単独舞踏会「ボンジュール~お姉さんのロンドン留学の話がなくなってもいいのかい!?~」 [DVD]
(2008/12/24)
髭男爵

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髭男爵です。髭を生やした男爵様と、その召使のコンビです。どう考えてもフィクションな存在なのですが、平然とバラエティ番組に受け入れられているという不思議。変に完成されていないところが良かったのかもしれませんね。「ルネッサーンス!」「○○やないか~い!」といったフレーズの汎用性も高いですし。来年も、彼らは確実に生き残っていくことでしょう。恐ろしいことですね。

そんな髭男爵が、二度目となる単独ライブを行いました。師走のサンミュージック祭第二幕『髭男爵単独舞踏会 ボンジュール お姉さんのロンドン留学の話がなくなってもいいのかい!?』ですね。無駄にタイトルが長いです。「ボンジュール」なのに、「ロンドン留学」なんですよ。凄いですね。まったくの余談ですが、「ボンジュール」でグーグル検索すると、神戸の泡風呂が一番上に出てきます。恐るべし、エロ大国日本。

今回の単独ライブ、かなり気合が入っているようで。センターマイクには蔦が絡まり、床にはペルシャ絨毯を敷き、背景には赤いカーテンとムンク『叫び』を模した二人の似顔絵。渋いです。激渋です。一瞬、シティボーイズのライブが始まったのかと思いました。若手芸人のライブとは思えない、なんだか落ち着いた空間が非常に心地良いです。アダルトな笑いが好ましい冬の季節に、こういう空間作りはなんだか好感触です。なんだか御宅探訪みたいですが。

肝心の内容は、いかにも髭男爵といったところでしょうか。オープニングの貴族漫才『バケーション』は言うまでもなく。単独舞踏会なのに、アタフタとしているひぐちくんが味わい深いです。ワイングラスをサーベルに持ち替えた『怪傑ゾロ漫才』は、モニター画面を利用した変化球漫才。個人的にバカバカしくて好きでした。というか、男爵は意外とサーベルが似合わないですね。それから、ひぐちくんが作ったという『セクシーオリンピック』。まさかのネタが、まさかのダブり!(「エンタの味方!」公式DVDに収録済)。今年、髭男爵のDVDは三枚リリースされていますが、今作が最も髭男爵の持ち味を堪能できる作品だと言えるでしょう。ちょくちょく挟み込まれたエキストラ外国人による「ショートコメディ」も、なかなか良い味を出していました。

ただ、残念だったのが「ひぐちくんオーディション」というコーナー。最近ちょっと天狗になってきているひぐちくんの代わりを探そうという企画で、サンミュージック社長やダンディ坂野が参加している内輪向けっぷりが楽しいんですが、如何せん、時間の都合故か、急ぎ足で展開されていたんですね。それがもう、とにかく勿体無くて。もっとじっくりやっていたら、もっと面白かったと思うんですよねえ。ああー、ホントに勿体無い。

でも、その点だけを除けば、かなり出来の良い公演だったと言えるのではないかと思います。ネタ解説の副音声も、なかなか面白かったですし。ただ、タイムスケジュールですよ。とにもかくにも。もっと、じっくりと時間をかけてネタを披露できる状態であったのならば、もっと良い作品に仕上がっていましたよ、これは。時間という概念がなあ(これ、誰が言ってたボケだっけ)。うーん。


・本編(84分)

『バケーション』『ショートコメディ「ロバーツとキャロライン」』『本』『怪傑ゾロ漫才』『ショートコメディ「パン泥棒」』『セクシーオリンピック』「VTR:天狗なひぐちくん」『ひぐちくんオーディション』『ショートコメディ「借金」』『キツネ狩り』『民衆の声漫才』

・音声特典

髭男爵・マネージャー・構成作家エルシャラカーニしろうによる全編副音声コメンタリー