菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂! 『立川より愛を込めて』(エレファントジョン)

かつて、アメデオというコンビがいた。同様に、チャップメンというコンビがいた。アメデオは漫才を得意とするコンビで、チャップメンはコントを得意とするコンビだった。この二つのコンビが解散し、新しく結成されたコンビが、エレファントジョンである。元アメデオの森枝天平と、元チャップメン加藤憲二人はこのコンビで、芸人としての再起を誓ったのだった。
当初、エレファントジョンはボケとツッコミの立場が曖昧なコンビだった。最初に森枝がボケて、それから加藤がボケる。その後で、また森枝がボケる。その漫才は、笑い飯を髣髴とさせるものだった。恐らく、彼らなりにオリジナリティを追求していた時期だったのだろう。森枝がかつて結成していたコンビ、アメデオ。彼らは、爆笑オンエアバトルでもチャンピオン大会に進出できるほどの実力を持ったコンビではあったが、一つだけ欠点があった。それは、事務所の先輩芸人と芸風が似通っていたことである。アメデオの先輩芸人……アンタッチャブルのことである。海砂利水魚(現・くりぃむしちゅー)直伝の、飄々としたスカシ漫才はアメデオのそれに近く、アメデオはたびたびアンタッチャブルの漫才と比較されていた。その意識がエレファントジョンを結成したときにも、残っていたのだろう。他の芸人とは被らない、自分たちだけの漫才。彼らは、それを目指していた。
それから数年が経過した。今でもエレファントジョンは、新しい漫才を模索しているように見える。今作に収録されているエレファントジョンの漫才は、アメデオの頃の漫才を髣髴とさせるスカシ漫才に「ガッテンガッテン」「やらすんじゃないよ」などの定番フレーズを加えたものになっている。どうやら、新しさを追求した結果、古典に戻ってしまったようだ。もちろん、ここで立ち止まっている彼らではないだろう。2004年結成。まだまだコンビとしては、成長段階にある彼ら。これからも更なる漫才道を歩んでいくことだろう。たぶん。
ちなみに、今回のDVDではコントも収録されているのだけれど、これは漫才よりも……うーん。エレファントジョンのコントはYouTubeで物凄い変なコントを観たことがあって、それはあまりのバカバカしさに笑ってしまった。でも、今作に収録されているコントは、全体的にまとめている感があり、ちょっと残念だった。もっとハチャメチャにやっても良いと思うんだけどなあ……。

・本編(36分)
「ヤンキー」「教師」「教習所」「公園にて」「別れ話」
・特典(18分)
「立川より愛を込めて 〜気になる場所巡り〜」

特典映像には、エレファントジョンによる立川レポートを収録。若手芸人らしい初々しさもなく、普通のレポーターの様な立ち振る舞いが、なんとも彼らの芸歴の長さを感じさせられた(アメデオ・チャップメンともに1998年結成)。