菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂! 『18番』(5番6番)

2002年5月。まだまだお笑いブームの芽が発芽し始めて間もないこの時期、そのブームの礎を築いたと言われる爆笑オンエアバトルにおいて、ある実験的な試みが為された。これまで、一度もオンエアされたことの無い芸人ばかりを集めた、通称“未勝利戦”が行われたのである。
これまでオンエアされたことが無いということは、即ち「つまらない」という烙印を押され続けた芸人ばかりが集められた、ということである。その結果、この大会でオンエアされた五組のうち三組が初登場組*1で、これまでに連敗を続けていた芸人たちは、それ以上の苦汁を飲まされることになった。
その大会において、純粋に未勝利だった芸人が二組だけ、オンエアされた。うち一組が、後にエレファントジョンと鬼ヶ島に分裂するチャップメン。そして、もう一組が5番6番だった。チャップメンはその後、オンエアすることなく解散してしまったが、5番6番は定期的にオンエアされるようになり、気付けばチャンピオン大会に出場できるほどの手腕を持ったコンビになっていた。
5番6番の漫才は、事務所の先輩である爆笑問題の影響を多分に受けていることが素人目にも明らかな時事ネタ漫才だ。ネタのテンポや展開、ボケが出てくるタイミングに至るまで、爆笑問題のそれとほぼ同じという徹底ぶり。そこに後ろめたさを感じず、堂々とやってのけるところも良い。爆笑問題の芸教育が、しっかりと行き届いているのだろう。
今回のDVDでは、彼らが“十八番”としている漫才ネタが三本、収録されている。彼ら自身も代表作といえるものを持ってきたのだろうが、不思議と時事ネタ漫才という印象よりも、漫画やテレビ番組を取り上げた漫才という印象が強い。そのあたり、爆笑問題の漫才よりも彼らの漫才が若者向けに感じられる理由なのかもしれない。そういえば、5番6番の漫才は、爆笑問題の漫才よりも軽快な印象がある。意識的にやっていることなのか、それとも自然に出来ているのか……いずれにしても、彼らの持つ独特の味になっているようだ。今後も、5番6番の漫才は現在のまま継続していくことだろう。そして、いずれまた別の芸人に影響を与えていくのだろう。お笑いとは、そういうものである。

・本編(40分)
「漫才1(面白い教科書)」「お弁当」「漫才2(漫画の実写化)」「2008年甲虫祭り リアル虫キング 統一戦」「漫才3(低年齢化・学校・ブログ)」
・特典(9分)
「出会い系サイト」「それが地球人」

特典映像には、オンエアバトルで初オンエアされたときに披露したネタを映像化した「出会い系サイト」と、地球人の妙なところを客観的に言うロケコント「それが地球人」を収録。こういう普遍的な映像が、個人的には嬉しい。特に「出会い系サイト」は、懐かしかった。

*1:チャイルドマシーン麒麟超新塾の三組。なお、この回のトップ3でもあった。