菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂!『パッション屋良の情熱講座』

僕がパッション屋良のネタを初めて見たのは、「お笑い登龍門」でのことだった。新聞で深夜にお笑い番組が放送されているのを見つけ、ちょっと見てみようかと思って録画して、再生して映し出されていたのが、彼だった。その放送では、ちゃんとしたネタを披露しておらず、今ではすっかりお馴染みの“ヤラヤラバンバン(胸を叩くギャグ)”“エビィバディパッション”のブリッジを利用したショートコントだけを披露していた。
ちゃんとしたネタを見たのは、彼が爆笑オンエアバトルに出演したときのことだった。彼のネタはいわゆるモノボケ”で、準備してきた小道具を上手に扱ったコントを展開させるものであり、その上手さのあまり、ネタ中に何度も息を漏らしてしまった。パッション屋良という芸人の評価は、どうもその体育系らしい力技な芸風(つまり“ヤラヤラバンバン”を徹底させたスタイル)で停止してしまっている。しかし、このモノボケの上手さこそ、もっと評価されるべきだと思うのだ……が、なかなか見せる機会が無いので、どうも難しいようだ。勿体無い。
今回のDVDには、そんなパッションのモノボケネタはそこそこに収録されていた。うーん。一応、ネタは「けん玉」「ビート板」「パラソルハンガー」「竹馬」「脚立」の五本が収録されている(個人的に好きな「ラケット」が未収録だった! 残念)のだけれど、どうも消化不良気味。彼のモノボケは優秀ではあるけれども、それだけを見るというのはちょっと厳しいようだ。あくまでも、様々な芸人が参加するライブでこそ、彼の芸は映える。そう考えると、あまり単独ライブ向きじゃないのかもしれない。地味に演芸場で活躍し、テレビにちょこちょこ出るくらいが、丁度良いのかもしれない。
そういったネタの幕間映像には、パッションが真剣に陸上競技をやってる様子が収録されている。うーん。この映像を、一体誰が楽しめるんだろうか。いや、ある意味、物凄くパッションらしい映像で、自身の了見を理解しているということが、とてもよく分かる映像ではあるのだけれども。でも、これなら普通にオフショットを流したほうが、ファンは嬉しかったんじゃないかなあ……という気が。うーん。真面目に陸上してるパッションを見て、喜ぶ人っているんだろうか。謎だ。
まあ、彼の本芸であるモノボケ、お馴染みの“ヤラヤラバンバン”“エビィバディパッション”のショートコント、そして普段はそれほど見せない体育系としての顔など……良くも悪くも、パッションらしいDVDだったのではないかと思う。パッションの芸のみではなく、パッションの人柄も好きだという人なら、楽しめるんじゃないかしらん。
ちなみに、同事務所所属のやまもとまさみと同様、ネタは無観客で行われていた。ただ、ところどころでスタッフ笑いのようなものが聴こえてきて、なんだかテレビ収録らしい映像に仕上がっていた感も。今回は、そのスタッフ笑いでちょっと救われてたかも。

・本編(46分)
「けん玉」「情熱的100m走」「ビート板」「情熱的走り幅跳び」「パラソルハンガー」「情熱的ハンマー投げ」「竹馬」「情熱的1500m走」「脚立」「男子胸たたき30秒」
・特典(12分)
「ダーク屋良」「情熱的利きプロテインに挑戦!」「ヤラヤラバンバン」

本編よりも、特典の「ダーク屋良」で笑いが起きていたのも、実にスタッフ笑い的で良かったです。いや、パッションにとっては面白くないかもしれないけれど。でも、僕も好きです「ダーク屋良」。“エブリバディダークナウ!”って……笑っちゃいますよ、ホント。ちなみに、「情熱的利きプロテインに挑戦!」には、星野卓也が特別出演。進行が上手かった。