菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

兄弟二人ボヤキ噺『チハラトーク #1』

チハラトーク #1 [DVD]

チハラトーク #1 [DVD]

突然だが、このところトークライブブームの足音が聞こえている気がしている今日この頃。深夜枠で放送されていたトーク番組「人志松本のすべらない話」が、ゴールデンタイムの時間帯でスペシャル放送されるのが当たり前になってきたし。若手芸人のトークライブをDVD化しているライブミランカシリーズも好評で、月に一回の発売が当たり前になってきているし。そして今回、ここにきてチハラトーク』がDVD化されたし。……2001年に書籍化され、それから2008年現在までメディアミックス的に音沙汰の無かった『チハラトーク』。それがこの時期にDVD化されるというのは……いや、トークライブのブームが来てるのではないか、と。個人的に思えて仕方ない。
それにしても、千原兄弟のトークは今回が初体験だったのだけれど、まあ……千原ジュニアのボヤキトークの多さ・長さに、とにかく驚かされた。商品を入れ忘れた電気屋にキレて、学園祭の執行委員にキレて、吉本の後輩にキレて……とにかく、やたらとキレる。若かりし頃はジャックナイフ芸人と呼ばれていただけあって、今でもその鋭さは失われていないようだ(鋭さの質は変わっているのだろうが)。
勿論、普段からキレてるわけではなくて、そういう特殊なエピソードを持ち出して笑いにしているだけなんだろうが、そのエピソードの殆どがボヤキ中心なので……どうにもこうにも、そういう印象が強く残ってしまう。それを、腕を組んで頷きながら聞く、千原せいじ。まるで二人は、相手にカマしているチンピラと兄貴分のヤクザみたいだった(いや、ホントに)。でも、面白い。笑ってしまう。そのボヤキの気持ちよさに、心が安らぐ。この感覚は、ちょっと不思議だった。たまに「そこまでキレなくても……」と、そのキレっぷりに理不尽さを感じるのに、それを許してしまう。恐らく、理不尽さよりも面白みが勝っているためだろう。それほどに、ジュニアのボヤキ話は面白い。特に芸人仲間の話が面白く、どりあんず堤・野性爆弾ロッシーについてのエピソードは爆笑モノだった。
……こうして考えてみると、千原ジュニアだけでライブが成立しているのではないか、と思えてくる。事実、今回のライブDVDでの主な笑いはジュニアがかっさらっていた。でも……横に千原せいじがいないと、このライブは成立していないようにも思う。横に千原せいじがいるからこそ、ジュニアは(良い意味で)臆面無く話すことが出来る。だから、千原せいじは必要なのだ。今回のライブでは、過去にテレビ番組で聞いたことがあるエピソードも披露されていたけれど、そこで見たときよりも、今回のほうが笑えたのは、恐らく彼がいたからだろう。
これまでにも、タイトルに数字の入ったDVDは何枚か購入してきたけれど、この『チハラトーク #1』ほど、タイトルに数字が入っていることが嬉しいと思ったライブは無い。いやー……次回が本当に楽しみ。

・本編(117分)
「千原せいじ若井おさむ」「今田さんの姪っ子」「カーステレオと家電量販店」「「情熱大陸」裏話」(2006年10月27日)、「大学の学園祭で…」「運転中に…」「スパリゾートで…」「飲食店で…」(2006年11月24日)、「千原兄弟のクリスマス」「すべった記者会見」(2006年12月25日)、「正月旅行のどりあんず 堤」(2007年1月30日)、「著書「14歳」とテレビ番組」「野性爆弾 ロッシー」(2007年2月26日)、「「トラ丸」という猫を探しています!」「タクシー運転手が撮った写真」「少年時代の千原兄弟」(2007年3月29日)

今回のDVDにはボヤキ以外のエピソードも収録されていて、それも安定して面白いけれど、やはりボヤキ話が面白い。特に「正月旅行のどりあんず 堤」は、何回見ても面白い。同じ話を『人志松本のすべらない話』でも披露していたように思うけど、それよりもずっと面白い。同番組での千原ジュニアのトークが好きな人は、番組DVDよりも『チハラトーク』を買ったほうが、得かもしれない。