あの感動をもう一度『百式2007』
- 出版社/メーカー: よしもとアール・アンド・シー
- 発売日: 2008/01/23
- メディア: DVD
- クリック: 20回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
実は、ここ最近の僕は『百式』というシリーズに不安を抱いていた。昨年、発売された『百式2006』の出来がイマイチだったからだ。これまで外に向いていた2丁拳銃の漫才のベクトルが、内側に向き始めていたように思えたのだ。何処か、閉鎖的。何処となく、ファン相手に甘えている……とまでは言わないにしても、ちょっと気を抜いている。そういう印象を受けたのだ。今回のDVDでも、そういう印象を受けざるを得なかった。オープニングから自身のギャグをネタにした漫才をやったり、もはや定番にしようとしているマネージャーネタの漫才をやったり……いくら“万物の真理に至るまでを笑いに昇華”することを方針としているとはいえ、ちょっと遠慮してもらいたい。
但し、ネタのクオリティ自体は決して低くはなかった。むしろ、過去の『百式』の中でも高いほうだったと思う。「マッチ売りの少女」を「ハマチ売りの少女」にしてしまう『童話漫才』でのセンスや、吉本新喜劇をパロった『動物園漫才』のノリ、小堀の繰り出す下らないギャグにノリツッコミを繰り広げ続ける『海外旅行するなら漫才』でのテンション……どれをとっても、2丁拳銃の漫才キャリアを感じさせられるもので、まだまだ芸人としての底が知れていないなあ、と感心させられた。
……それでも、やはり緊張感がもうちょっと足りない。どうもマネージャー漫才をやり始めた2005年のライブ以降、『百式』の舞台が戦場ではなくホームになってしまっているようだ。まあ、それはそれで良いのかもしれない。ネタのクオリティが下がったわけではないし、漫才師としての手腕が落ちたわけでもない。ただ、そういう空気を彼らが望み、受け入れたということならば、もはや仕方が無いことなのだ。
でも、2丁拳銃には似合わないと思うんだよなあ、そういう雰囲気って。ロック音楽が好きで、ロックな漫才師を気取っていて、CDなんかも出しちゃったりしている2丁拳銃に、そういうホーム的な安らぎは似合わない。むしろ、そういう場所で本気に戦ってこそ、2丁拳銃なんじゃないかと僕は思うのだ。だから、このタイトルである。2丁拳銃よ、あの感動の漫才をもう一度見せてくれ!
・本編漫才(106分) 「オープニング漫才」「名言ライム漫才」「童話漫才」「天気予報士漫才」「お葬式漫才」「働きアリ漫才」「動物園漫才」「海外旅行するなら漫才」「マネージャー漫才」「家具屋漫才」「仙人漫才」「チョコレートパフェ漫才」 ・特典映像(23分) インターネットで2年間配信していた「2丁拳銃の撃ちっぱなし」。その中の『ちょっとコント(ちょっとしたコント)』を完全リメイク収録。
上の概要にも書いたように、今回のDVDには2丁拳銃のコントが収録されている。そういえば、ここ数年2丁拳銃はコントライブを発売していない。彼らの漫才同様、コントもそれなりに面白いから、たまには発売してほしいと思うのだけれども……売れないのかなあ。