菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

旬。『サンドウィッチマンライブ2007 新宿与太郎哀歌』

サンドウィッチマンライブ2007 新宿与太郎哀歌 [DVD]

サンドウィッチマンライブ2007 新宿与太郎哀歌 [DVD]

食べ物に旬があるように、芸人さんにも旬がある。サンドウィッチマンは、まさに今が旬の芸人だ。M-1グランプリ2007で優勝して二ヶ月近く経った今、彼らをバラエティ番組で見かけない日は無い……とまでは言わないにしても、それなりにテレビ露出は増えているようで、ちょくちょくゴールデンタイムのバラエティでも見かけるようになってきた。そんな折、彼らが単独ライブDVDを初めて発売した。なんでも、M-1での優勝が決定する前に、発売されることが決定したらしい。実に間が良い。
再生すると、普段なら名も知らぬ劇団が舞台公演を行っていそうな、小さくて暗い舞台が映し出された。客席も近く、手を伸ばせば舞台に届きそうだ。そんな舞台に、サンドウィッチマンの二人は立っていた。もしも彼らが普通のタレントならば、この時点で違和感が生まれていただろう。アンダーグラウンド的な舞台は、テレビの華やかさとの相性が決して良くはないからだ。しかし、サンドウィッチマンの二人は、その舞台にとても馴染んでいた。そうか。サンドウィッチマンアンダーグラウンドだったのか。
でも、実際にネタを見てみると、彼らのネタにはそれほどアンダーグラウンド的なものは感じられなかった。確かに、富澤たけし発するボケにはブラックな要素が含まれていることも少なくない(葬儀屋のコントで危篤状態の父親の葬儀の予約をするだとか、テレフォンショッピングのコントで紹介したフリーダイヤルが「パパ、殴らないで」になっているだとか)。けれども、そういったブラックな要素は、伊達みきおが発するスパッと切れ味の良いツッコミで、全て純なる笑いとして完全昇華されている。だから、ブラックな笑いを見たという後味が残らない。富澤の曇り空の様なボケを、伊達の太陽の様なツッコミが晴天に変えているかのように。
そんな例えを考えていると、ふとさまぁ〜ずのことを思い出した。大竹のネガティブなボケは曇り空に例えられるし、三村の感情剥き出しなツッコミはまるで太陽の様に思えたからだ。また、今回のライブではさまぁ〜ずのそれに似たやりとり(『デリバリー』のオチはまんま三村マサカズ)が幾つか見られ、ひょっとしたら影響を受けているのか……と思っていたら、彼らの憧れている芸人がさまぁ〜ずなのだそうだ。合点。
まとめ。今回のライブは、サンドウィッチマンの純粋な地力を確認できるという意味で、なかなかに貴重なものだったのではないかと思う。何故なら、今のサンドウィッチマンにはM-1王者という勲章があるため、これからしばらくの間はそれを意識したライブをやっていくことになるだろうからだ。テレビじゃ見れない、ちょっとコアなサンドウィッチマンをどうぞ御堪能頂きたい。

・本編(約62分)
「タイマン」「オープニング」「漫才(スピーチ・マイクデービス)」「ガソリンスタンド」「葬儀社」「新聞勧誘」「深夜のラジオ」「記念写真1」「テレビショッピング」「哀川超」「記念写真2」「デリバリー」「エンディング」
・特典映像(約48分)
「サンドウィッチマンライブ〜舞台裏編〜」「ベストヒット板橋」「サンドウィッチマン〜軌跡〜」「ショートフィルム『引っ越し』」「特典映像〜メイキング〜」

それにしても、伊達みきおは意外と芸達者だったなあ。