『インスタントジョンソン初単独ライブ おつかれちゃ〜ん!!』
おつかれちゃ〜ん!! インスタントジョンソン 初単独ライブ [DVD]
- 出版社/メーカー: デックスエンタテインメント
- 発売日: 2006/12/23
- メディア: DVD
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そのことが手伝ってか、僕は広島に行くとついつい余計な買い物をしてしまう。広島にある中古ショップが、どうも僕の心をくすぐって仕方ない。おかげで、今回も様々な買い物をしてしまった。赤塚不二夫の対談本『バカは死んでもバカなのだ』、秋月りすの四コマ漫画『ミドリさん』、山中伊知郎による『小説・コント55号』……この、インスタントジョンソンの初単独ライブを収めた『インスタントジョンソン初単独ライブ おつかれちゃ〜ん!!』も、中古屋で購入した作品である。近所のレンタルビデオに置いてある作品だったので、購入の予定は無かったのだけれど……つい、980円という価格に釣られて、購入してしまった。
後になって気付いたが、自分の中で“インスタントジョンソン”というトリオの名前は、すっかり過去のモノになっていた。まあ、『エンタの神様』『笑いの金メダル』などのネタ番組で一気に消費されてしまった彼らなので、仕方が無いのかもしれない。しかし、ここまで彼らがバラエティで見ないようになるとは。
思えば、トリオ群雄割拠の時代である。シュールともナンセンスとも違う雰囲気を漂わせるロバート、女性を捨てた勝ち組ナンセンストリオ森三中、見た目のインパクトと強烈なキャラクターが印象的な安田大サーカス、くるくると回転する漫才を発案した我が家など……かなりの数のトリオ芸人が噴出している中では、ネタのバランス・トリオとしてのバランス・キャラクターとしてのバランスに安定感のある“バランストリオ”なインスタントジョンソンは、ちょっと芸の個性としては弱いのかもしれない。
しかしながら、やはり彼らのコントは面白い。文化祭の出店に就職しようとする奇妙な男を描いた『うどん』、のど自慢にオリジナルソングで出場しようとする『スポットライト』、ミュージカル映画を観てきたカップルが喫茶店で暴れまわる『喫茶店なんで…』など、明確なボケとじわっとくるペーソスが味のコントは、子供からお年寄りにまで伝わる分かりやすいもので、実に良い。個人的には『遊びを忘れた大人達』というコントが、たまらなくペーソスに満ちていて良かったなあ。特にゆうぞうのスーツの哀愁がたまらなかった。
広島でこれでもかと散財した僕は、翌日の新幹線で実家の香川県某市に帰った。乗車時、既に日は頂点を過ぎており、駅を通り過ぎていくたび、世界は夕闇を帯びていった。このDVDが発売された2005年頃、インスタントジョンソンはまさに、この夕闇の様な状態だった。この頃、『エンタ』『笑金』での出演は激減し、“インスタントジョンソン”という名前がどんどん過去のものへとなっていた。
今、彼らは夜の時代を迎えている。いつかまた、インジョンの世界に再び日が差し込む時が来るのだろうか。そしてその時、彼らはかつての輝きをまた見せてくれるのだろうか。
・本編(76分) 『レフト兄弟』『オープニングVTR』『うどん』『花屋(VTR)』『ヤンキー』『隠し撮り(VTR)』『まんじゅう怖い』『THE 杉山真一』『スポットライト』『春巻き未亡人(VTR)』『遊びを忘れた大人達』『インジョン美術館(VTR)』『喫茶店なんで…』『楽屋』『エンディング・トーク』『スタッフ』 ・特典映像(21分) 『みんなのおつかれちゃ〜ん』『本番直前!!へなちょこ三銃士!!』『終わったちゃ〜ん!!』
それにしても、今の彼らは何をやっているのだろう。テレビでは姿を見せていないが、トリオを解散していないところを見ると、細々とライブ活動を続けているのだろうか。地方民としては窺い知れないところで、なんとも歯がゆい。