菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『見晴らしのええマンション』

THE PLANET9 Earth 見晴らしのええマンション~コントStyle~ [DVD]

THE PLANET9 Earth 見晴らしのええマンション~コントStyle~ [DVD]

 最近気付いたことなのだけれど、どうもお笑いというのは、単純に面白いモノを見せるだけでは物足りない。ただ面白いモノを見せるのではなく、そこに余計なモノを足していくからこそ、面白さは際立つ。僕はこのところ、お笑いの“余計なモノ”ばかりを観ている。どれだけ余計なモノをネタの中に詰め込められているか、もしくは、どれだけ余計なモノを排除してネタを完成させているか。そこを重視しているのである。
 で、ザ・プラン9である。ザ・プラン9の通常公演に含まれている“余計なモノ”は、あまり面白くない印象がある。過去、ザ・プラン9の公演は『西暦二〇〇X年四月一日、禁洒法ヲ施行スル。』と『功夫ジョン 完全版』の二回を観たことがあるけれど、どれもネタの部分はしっかりとしていたのだけれど、どうも“余計なモノ”の面白さが足りない。いや、はっきりと「つまらない」と言うべきかもしれない。
 ザ・プラン9の本公演における“余計なモノ”とは、つまりイキりの部分である。ザ・プラン9の本公演は、基本的にイキっている。分かりやすく言うと、「カッコつけ」ている。勿論、「カッコつけ」だってネタになることはある。ダイノジ大谷氏やラーメンズ小林氏の様に、「カッコつけ」を極めたナルシシズムを匂わせる芸人だって少なくない(NON STYLE井上氏はもうちょっと頑張れ)。ただ、ザ・プラン9の「カッコつけ」には、どうも無理を感じる。ネタを締めるために、仕方なく「カッコつけ」をやっているようなところがある。そこが、僕にはどうも「つまらない」と感じるのだ。今作のオープニングもまた、随分と「カッコつけ」な内容だった。メンバー五人が舞台の上に立ち、これから始まるコントが凄いことであるかのように語っていた。……要らないよなあ、こういうの。
 しかしながら、肝心の本編はしっかりとバカバカしいネタのオンパレードだった。メンバー五人の良さが存分に活かされていた『我が村は未知なりき』、浅越氏のツッコミがバツグンに冴えていた『ホテルにて』、無言の美しさとバカバカしさが光る『庭球男』、オーソドックスな展開ながらナンセンスな内容が魅力の『映画館』など……ハズレの無いコントの目白押し。それら六本のコントを集約したコント『見晴らしのええマンション』もラストを飾るに相応しく、大満足な内容だった。微かに「カッコつけ」臭も匂っていたけれど。
 ザ・プラン9も一度、こういうノリで一本モノの舞台をやってみるのも面白いのではないかと思うのだが……やっぱり起承転結のあるストーリーの方が、まだ作りやすいのだろうか。でも、そういうのを一度くらいやったほうが、今後の芸風にも良いことになるんじゃないだろうか。正直、『禁洒』から『功夫』まで、“余計なもの”が大きく変化していないという現状は、決して良くはない筈だ。

・本編(118分)
『オープニング』『我が村は未知なりき』『ええ笛。』『危機イッパツ』『ホテルにて』『庭球男』『映画館』『見晴らしのええマンション』
・映像特典コント(11分)
『ウェルカム・トゥ・オーサカ』『息子』