菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

「みうらじゅん&リリー・フランキーの期待されても困るんですよ」(2008年10月22日)

漫画家としてデビューして以後、マイブームを探求し続けているみうらじゅん。デザイナーとしてデビューして以後、小説・音楽・絵本などマルチな活躍を続けているリリー・フランキー。そんなサブカルチャー界の風雲児的な二人を、同じカゴの中に入れてみたら、どうなるだろう。とりあえず、下ネタで盛り上がることは間違いないだろうが……。

2006年11月。この二人が一つの部屋の中で、トークを繰り広げる番組が放送された。タイトルは「みうらじゅんリリー・フランキーの期待されても困るんですよ」。“期待しないでくれよ”という後ろ向きなメッセージが、なんともいえない哀愁を滲み出している。今作は、そんな番組に未公開トークを加えた映像を収録したものである。2008年10月に発売され、僕も当時に購入したのだが、ついつい感想を書くのを先延ばしにしてしまい、そのまま放置していた。正月休みも終わる今日、良い機会なので感想文を書くことにした。

トーク冒頭。早速、自作のエロスクラップを提示して「困った人が開けるようにしようよ」と言い出すみうらじゅん。初っ端から下ネタ全開だ。一方のリリー・フランキーは、トークの舞台として準備されたアパートの一室風なスタジオ内にある冷蔵庫で、勢力剤を発見する。パッケージに描いてある竜馬像にニヤニヤしてみたり。単なるエロオヤジ二人である。でも、なんとなく味わい深いトークになっているから、不思議だ。下ネタなのに。

それにしても、濃い人生経験を持つ二人が揃うと、色々なエピソードが出てくる出てくる。例えば、みうらが「子供の頃、プールでの碁石拾いリレーが上手かった」というノスタルジーな話をすると、リリーが「俺の友達は、碁石海岸の石をおしりの穴に入れるのが好き」というフェチズムなトークを展開する。すると、今度はみうらがその話を受けて、「中京テレビの某ディレクターは、飲み屋にある白黒の碁石をテキトーにおしりの穴にいっぱい入れて、客に何色の碁石が出てくるかを言わせて、実際にその色の碁石を出す」という、不条理でナンセンスなトークを繰り出していく。なんなんだ、この二人。

どんな話題が始まっても、結局は下ネタへと落っこちていく二人のトークは、如何にも深夜番組という様相を呈している。それなのに、話が決して下品な雰囲気にならないのは、やはり二人が醸している空気のせいなのだろうか。それとも、下手に互いの性癖の話に流れていかないからなのか。よく分からないが、見習うべきなのかもしれない。下手な下ネタに走りすぎちゃうからなあ、僕は。田舎臭くて良くない。

こういうオッサンになりたいなあ、と思った二十三の冬。でも、こういうオッサンになるためには、色々な知識を集めるだけではなく、色々な経験をしなくてはならない。人生経験をそれなりに積み重ねている二人だから、こういう下らないトークを味わい深く見せられるのだ。たぶん、そうなのだ。だから、こういうオッサンになるために、僕はこれから色々なことを経験しなくてはならない。経験したいことも、経験したくないことも。人生というのは、そういうものなんだろうな。

オッサン二人の下ネタトークを観ながら、人生について考えてしまった。むーん。


・本編(57分)
「勢力剤と坂本竜馬」「海はやりたい放題」「形状に慣れるための童貞指南」「ブームは親御さん」「世の中の裸は乳輪から」「ブリーフの中身と湿度」「進化する大人のオモチャ」「モテる話術」「よく当たる陰毛占い」「涙もろさを克服する」「銅像は羞恥プレイ」ほか

・特典映像(44分)
「未公開トーク」「「グラビアン魂」ができるまで」