菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『モンスターエンジンDVD』

モンスターエンジンDVDモンスターエンジンDVD
(2009/03/11)
モンスターエンジン

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モンスターエンジンといえば、なんといっても『神々の遊び』。神が神を退屈しのぎに騙す。毎回同じパターンで騙す。で、騙される。バラす。驚く。和む。凄い。下らない。何も生み出さない。しかも、それをやっているのが神。何やってるんですか神様。仕事してくれ。何の神か知らないけど。上半身裸で、下半身スパッツだけど。ノリはちょっと『聖おにいさん』(中村光)っぽいところがあるかもしれない。神だし。

この『神々の遊び』で、モンスターエンジンは一気に知名度を上げた。全国放送の番組に出演する機会も増えた。モンスターエンジンといえば『神々の遊び』と言っても良いほど、そのネタのインパクトは凄まじかった。とはいえそれは、彼らがピン芸として見せる『仁鶴師匠の歌』『中小企業ラップ』と同様、イレギュラーな芸でしかない。モンスターエンジンの本芸は、あくまでも漫才だ。

モンスターエンジンの漫才師としての実力は、確かである。去年なんか、M-1グランプリ2008決勝の舞台に立ったもんね。他のメンバーが濃すぎたせいか、あんまり目立たなかったけど。結果も芳しくはなかったけど。でも、これからの彼らはもっともっと面白くなっていくような、そんな気がする。今作の漫才を観ていたら、なんとなくそう思えてきた。

今作には、モンスターエンジンの漫才が四本(更に特典映像に一本)収録されている。それぞれ、なんとなく怪しい雰囲気を醸し出している西森が発する不気味なボケと、それを上手にさばいていく大林のツッコミがコミカルに絡み合っている。やや漫才師としてのスタンスが不定形ではあるが、ベタさとナンセンスさが共存するネタの数々は、彼らの漫才師としての将来性を感じさせる。中でも個人的に気に入ったのが、西森が大林に靴屋を紹介するというネタ。靴屋が普段はうどん屋を装っているというシチュエーションも然ることながら、その後の怒涛の展開がたまらない。ゴキブリが集まってシカの剥製に……意味が分からない。分からないけど、面白い。

今は『神々の遊び』ネタが先行しすぎて、肝心の本芸がそれほど浸透していない感がある彼ら。このままだと一発屋になりそうな雰囲気すら漂っていたけれど、これだけの笑いを生み出すことが出来るのならば、大丈夫な気がする。いや、僕はむしろ『神々の遊び』よりも、彼らの本芸である漫才に惹かれたな。この漫才師が、これからどのように変化していくのか、ちょっと楽しみになってきた。モンスターエンジン。文字通り、お笑い界のモンスターとなるか。……締め方がちょっとダサい?


・本編(81分)

『OP 神々の遊び』『漫才1(幽霊)』「空手師範代 壱」『コント「病室」』『漫才2(推理小説)』「空手師範代 弐」『大林ピンネタ』『西森ピンネタ』「若手」『漫才3(靴屋)』「空手師範代 参」『コント「仕送り」』『漫才4(実況)』「怨み」

・特典映像(8分)

『漫才』『神々の遊び』