菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『フォーリンラブ 嫌いになれない!!』

フォーリンラブ 嫌いになれない!! [DVD]フォーリンラブ 嫌いになれない!! [DVD]
(2009/06/24)
フォーリンラブ

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いわゆる恋愛ドラマというヤツに興味を抱いたことがないのだが、ああいう作品を好んで見ている人というのは、本当に存在しているのだろうか。少なくとも僕の身の回りに、そういった類いのドラマを見ている人というのは、いなかったように思う。ただ単に、そういったドラマがターゲットとしている視聴者層と、僕の周囲にいる人たちが合致していなかっただけなのかもしれないが。

どうして僕がそういうドラマに興味を抱かない、もとい抱けないのかというと、どうも恋愛ドラマはどれも似たり寄ったりだというイメージがあるからだ。どっかのテキトーな都会の街中で、テキトーな美男と美女が出会って、色々とテキトーな悲喜こもごもがあって、でも最後にはテキトーに落ち着いてしまうという、そういうイメージだ。もちろん、それぞれのシチュエーションには少なからず違いがあるのだろうが、それでも大差はない……というイメージがある。なにせ、イメージでしか語っていないので、正確なところは分からない。そういうわけで、実際のところは、昨今の恋愛ドラマはもうちょっと深みのある内容になっているのかもしれない。分からないが。

フォーリンラブのコントは、そんな僕のイメージする恋愛ドラマの概要を、ネタとして昇華している。彼らは美男美女ではないし、出会っている場所が都会なのかどうかも分からないが、そこで作られているストーリーは間違いなく恋愛ドラマのそれだ。そして恐らく、彼らは「いわゆる美男美女とは言えない自分たちが恋愛ドラマを真剣に演じるさまが面白い」と思って、このスタイルを貫いているのではないだろうか。

ただ、こうして彼らのネタをまとめて見ていると、むしろ彼らのネタは恋愛ドラマのパターン化した展開に対する遠回しな批判の様に見えてくる。「真面目に作っている恋愛ドラマも、客観的に見れば客が爆笑するような陳腐な世界でしかない」ということを、彼らが語っているように感じるのである。実際のところがどうなのかは分からないが、もしもこれが意図的なものであったとすれば、フォーリンラブはなかなかの曲者だと言える。まあ、単なる深読みに過ぎないだろうが。

あらゆる恋愛ドラマの典型的なストーリーを、ショートコント形式で再現して見せるフォーリンラブ。割と女性層に支持されているようだが、今は単なる恋愛ドラマをベッタベタに再現しているだけなので、ちょっと恥ずかしさが滲み出ているのが惜しい。それとは別に、名作ラブストーリーを模倣したシーンを取り入れて、より明確に毒っぽさをアピールしてみるのも良いかもしれない。試してみてほしい気もするけど、ダメかな。


・本編(17分)

『家庭教師と受験生』『保健室の先生と不良生徒』『大阪スナックのママと客』『中華料理屋店員と鳶職人』『極道の姉さんと若い衆』

・特典映像(6分)

「1分間のリアルラブストーリー「アンケート調査」」「1分間のリアルラブストーリー「卒業式」」「1分間のリアルラブストーリー「幼稚園1」」「1分間のリアルラブストーリー「陸上部」」「1分間のリアルラブストーリー「幼稚園2」」「幼稚園でのミス!?ミスストーリー」

※無観客収録。特典映像は幕間映像のまとめ。