『ジャルジャルの戯 3』
ジャルジャルの戯 3 [DVD] (2009/07/08) ジャルジャル 商品詳細を見る |
ジャルジャルの代表的コントばかりを詰め込んだDVDシリーズ、『ジャルジャルの戯(あじゃら)』の第三巻が発売された。同巻には初回限定で『ジャルジャルの戯』シリーズ過去二作を収納できるBOXがセットされているので、このシリーズは今回が最後であると考えていいだろう。それにしても、2003年に結成したお笑いコンビが、三十本近い持ちネタを映像化してしまうなんて、改めて考えると凄いことだ。ネタの独創性と完成度、それから生産スピードに自信が無ければ、とても出来ることではない。
……いや、何も考えていないだけなのかもしれないけど。何か物凄いことを考えているようで、でも何も考えてないような感じもする。このコンビはそんな、掴みどころのないネタばかりを作り続けている。どんなお笑いを体感して育ってきたんだろうなあ、この二人は。
これまでがそうであったように、今作においてもジャルジャルはその独創的な世界を存分に発揮している。浮気調査を依頼した探偵から告げられる衝撃の事実に驚き続ける『すごい展開』、昔から知っている友人の思わぬ事実が次々と曝されていく『幼なじみ』、二人がお互いの手を食べることに夢中になってしまう『ハンドイートマン』など、どのコントも彼らならではの独創的発想が活きているものばかりだ。
彼らのコントはいつも、不純物が限りなく少ない。思いついた発想を、何の捻りもなく、ただただストレートに演じられるだけ。普通の芸人ならば、もっと余計に笑いを付け足そうとする筈なのに、彼らは基本的にその発想のみで最後まで突っ走ってしまう。この笑いに対する恐れの無さが、彼らが個性的なコンビとして評価されている最大の要因なのだろう。たぶん。……いや、もちろん発想の純度が高くなければ、こういうトリッキーなことは出来ないと思うけどね。
それら独創的なコントに加え、今回は過去の『ジャルジャルの戯』で披露されてきたコントの続編も収録されている。面倒臭がりな男が徹底的に居留守を使い続ける『嘘つき通す奴 ~ピザ~』、店長と店員が暇つぶしにちょっとしたゲームを繰り広げる『イス取りゲーム』、言っていることをまったく理解できない男のコント『理解不能者 ~病院~』がそれだ。いずれも基本的なプロットは前作と同様なのだが、相変わらず面白い。前作コントに爆笑した人にも、是非堪能していただきたいと思う。
それにしても、『ハンドイートマン』は何度観ても面白い。僕が初めて観たジャルジャルが、この『ハンドイートマン』だったのだが、今観ても全然色褪せない。基本、単なる顔芸なんだけどね。でも、この顔の見せ方が上手いんだよね。シチュエーションの構成が実に上手い。しかも、二人とも顔芸が上手いんだよね。特に福徳の顔はハンパじゃない。ちょっと日本人っぽくない顔をしているように思う。
こういうバカなコントがいつまでも出来たら良いんだけどなあ。いつまでも同じスタイルを貫くのは、ちょっと難しいような気もする。視聴者は意外と貪欲だから、いつまでもジャルジャルの純度の高いコントで納得できるとも思えないし。なにかしらかの進化が問われることは、間違いないだろう。ここから彼らがどんな進化を遂げるのか。見守っていきたいネ(なんだ、この投げやりな終わりかたは!)。
・本編(74分)
『すごい展開』『幼なじみ』『理解不能者 ~病院~』『良い相方に恵まれへん奴 ~山口・大前~』『水泳部部活紹介 2002』『演歌』『変な奴』『嘘つき通す奴 ~ピザ~』『良い相方に恵まれへん奴 ~山口・野崎~』『ハンドイートマン』『イス取りゲーム』『大きな車』『びっくりした話』『良い相方に恵まれへん奴 ~牧・山口~』『芝居観に行った奴ら』
・特典
特典映像(24分)
副音声:福徳の実家にてネタ解説
CD:連続ドラマ「しつこい奴」(31分)