菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『オードリーDVD』全ネタ感想

オードリー DVDオードリー DVD
(2009/07/22)
オードリー(春日)オードリー(若林)

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先日、『オードリーDVD』の感想を書いたのだが、どうも個人的に納得が出来ないでいる。なんというか、オードリー絶賛の流れに反することを恐れてしまい、本当に感じたこと・思ったことを書けていないような気がしたのだ。これはいけない……と、いつもならそれほど考えないのだが、今まさに旬の芸人であるオードリーのDVDを二度取り上げるのも面白いような気がしたので、改めてもう一つ記事を上げることにした。

 

漫才「親孝行」

母親を海外旅行へ連れて行く“ズレ漫才”。今の彼らにとっては間違いなく鉄板ネタの筈なのだが、観客のリアクションがやたらと薄い。春日の客イジリに対して無反応。その後はそこそこ盛り上がりを見せていたので、単に客イジリの耐性が出来ていない客だったのだろうか。漫才自体は安定しており、しっかりと面白かった。春日がキャビンアテンダントを演じるくだりは、テレビではカットされている気がする。カットして正解かと。

結婚の挨拶

アメリカナイズされた父親(春日)に婚約者を紹介しに行くコント。かつて、さまぁ~ずが似たような設定のコントをやっていたので、どうも比較してしまうが、春日のアメリカンな言い回しがやたらと面白く、だんだんと気にならなくなってきた。途中からは「俺のトマホーク」「俺のジェリービーンズ」「ベッドの上でゴスペル」など下ネタだらけの展開に。下ネタも外国人ノリも好きな僕としては、ひたすらツボに入りっぱなし。終盤、春日が喋りのタイミングを思いっきり間違える場面があったのだが、あれは意図的なものだったのだろうか。

漫才「転校生」

若林が転校生を演じ、春日が生徒や教師を両手で演じる漫才。テレビの土踏まずさんが“ピクミン漫才”と称していた。実に的を射ていると思う。ノンスモーキンの指漫才にも感じることなんだけど、どうもこういう漫才って好きになれない。なんというか、漫才で表現できる範囲を中途半端に逸している感じがするのである。流れ星の「俺が全部やる」くらいになれば、あまりにも強引過ぎて笑えるんだけどなあ。終盤のドラゴンボール的なくだりは、若林を無視し過ぎていてイマイチだったかな。ここもテレビではよくカットされている。正解。

スタイリスト

ほぼ全裸のスタイリスト(春日)が、次々と服を薦めていくコント。スタイリストをテーマにしたコントの多くは、どういう服を薦めるかが主なボケで、キャラクターは二の次として扱われることが多いけれど、オードリーの場合はキャラ中心でボケ二の次という感じになっている。服を使ったボケに逃げていないと言えば聞こえが良いかもしれないけれど、そこまでキャラクターが個性的ではないため、あんまり笑いに繋がっていなかった様な。おかげで、むしろキャラクターに逃げてしまっている感じが。ちなみに、スタイリストをテーマにしたコントも、かつてさまぁ~ずがやってた。地味に被るな。

若林ピン

野球のスイングを東京都の路線に例えてレクチャーするコント。むしろ漫談か。東京都在住の人間じゃないと理解できないようなネタが多く、香川県在住の僕には少し分かりづらかった。ただ、漫談の組み立てかただけでも、これが面白いネタだということは理解できた。まだオードリーとして売れる前に作ったネタなので、かなり真剣に組み立てたんだろうなあ。当時の熱意を感じさせる、良いネタだった。

ショートアメフト

アメフトのタックルがオチになるショートコント。安直で強引なオチのネタが続くのかと思いきや、意外と作り込まれたネタが多い。一本目の「コンビニ」なんか、さりげなく上手かったな。

漫才「カスガクイズ」

春日が自身に関するクイズを出題し続ける漫才。先ほどの“ピクミン漫才”の手法が取り入れられているあたりが、実にさりげない。いわゆる創作されたクイズではなく、春日の真実をそのまま取り入れたクイズを披露しているため、なんだかドキュメンタリー性の強いネタになっている。ある意味、オードリーの全てが収められている漫才だと言えるのかもしれない。でも、春日のことを知ってる人じゃないと、このネタは楽しめないような気が。中盤ではお馴染みの“春日ダンス”も披露。

特に言うことはない。

サラリーマンファイター

格闘ゲーム「サラリーマンファイター」のアフレコ風景を描いたコント。春日が演じる自意識過剰で傲慢な声優が、若林演じるディレクターの支持を無視し、自らが思う演技を続けるという内容。決して面白くないわけではないのだが、同じような展開が何度も繰り返されるために、やや飽きが生じる。もちろん、彼らなりにボケを工夫してはいるのだが……。19分という長尺で披露するネタにしては、些か展開に面白みがなかった。終盤、春日にアドリブで演じさせるくだりは、ちょっと面白かったかもしれない。

漫才「デート」

若林がデートプランを発表する“ズレ漫才”。一本目の『親孝行』と同様、ネタのクオリティは高いのだが、春日がネタ中に噛んだ途端に漫才がちょっとだけふわっとした感じに。その後、早々と修正に入るが、再びふわっとした瞬間が訪れ、なんともいえない雰囲気に。正直、DVDに収録すべきネタではないような気もするが、こういう漫才をやっていたこともあったという記録としては、悪くないような気もする。……という視点で見れば、許せるような。そのアドリブのせいで、終盤のコンビ愛っぷりが露骨になってしまっていたような。どうせなら、きっちりこなしてもらいたかった。

隠しトラック「夫婦げんか」

妻の若林が夫の春日を追っかけるコント。ただ、楽しい。