菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『オオサカファンタスティックベストコンサート』(中山功太)

オオサカファンタスティックベストコンサート [DVD]オオサカファンタスティックベストコンサート [DVD]
(2009/08/26)
中山功太

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R-1ぐらんぷり2009の覇者、中山功太。覇者である。敗者ではない。だいたひかる浅越ゴエほっしゃん。博多華丸なだぎ武(二冠)が優勝してきた、R-1ぐらんぷりの覇者である。覇者の筈なのだが……売れていない。関西ローカルでの実情は知らないが、少なくとも全国放送のバラエティ番組では、彼の姿を見かけることは殆どない。

どうしてこんなに売れないのか。理由はまあ、なんとなく分からなくもない。おそらく、中山功太の優勝に対して、疑問を覚えている人が少なくないから、率直に彼を持ち上げづらいというところがあるのだろう。或いは、過去の優勝者に比べて、中山功太のネタは少しばかり冷笑的であるために、ちょっとバラエティ番組では取り上げにくいところがあるのかもしれない。何の根拠もない、単なる妄想である。実際のところはどうなのだろう。

何はともかく、中山功太R-1ぐらんぷり2009で優勝を果たした。そして、今作『オオサカファンタスティックベストコンサート』は、功太がR-1ぐらんぷり2009で優勝したことを祝して行われたベストライブの様子を収録した作品集だ。R-1優勝時のネタ『時報』を始めとして、『DJモンブラン~学食にて~』『対義語』『神』などのネタが収録されている。

一言ネタのクオリティはそれなりに高かった。特に『対義語』は様々な場所で披露されていることもあってか、非常に練り上げられている感が。『時報』の出来はちょっと甘め。功太ならではの冷笑的な笑いが、あまり見られなかった。R-1ぐらんぷり2009決勝の時の「世界最後の日に……」の様な、研ぎ澄まされたネタが観たかったので、少し残念。この他、生徒が提出した作文を読み上げるというネゴシックスを彷彿とさせる『作文』、一人の人間が体験した出来事を一言一言で表現する『人間』などが印象に残った。『作文』はフツーにテレビで出来そう。

一方、一言ネタがメインではないオーソドックスなコントは、ちょっとイマイチ。コントとしてのクオリティの低さを誤魔化すために、ブラックやナンセンスを散りばめているというか。中でも『コーナー』というコントは、悪い意味でしょーもなかった。特にオチは、中途半端にブラックにしようという欲が見え見え。というか、あそこは「マイクが死んでるわ」で良かったんじゃないかと……うーん。あと余談だけど、『姫子の寿司』でセーラー服を着こなしている功太は、色んな意味でヤバかった。……ヤバかった。

正直に言ってしまうと、功太のネタよりも幕間映像の方が印象に残っている。ネタが悪いわけではない。ただ、幕間映像のクオリティが、なかなかに高かったが故の悲劇である。中でも面白かったのが、様々な状況を次回予告で語る「次回予告」。ストレートに下らなくて、とっても面白かった。副音声は期待できない。ほっしゃん。の単独もそうだったけど、ピン芸人が一人で副音声をすると、どうして自分のネタにツッコミを入れるスタンスになってしまうんだろう。もうちょっとあるだろ、なんか。

中山功太の入門作品としては有効。まあ、ベストと銘打っているので、当たり前か。本編の収録時間が100分とボリュームがあるし、特典映像のトークコーナーもそこそこに面白かったので、鑑賞する価値はある。ただ、今度発売されるネタ本『中山功太ネタ全集』で、割とフォロー出来る気も……意地悪だね、どうも。


・本編(100分)

『フリップ漫談 ~対義語~』「オープニング」『作文』『DJモンブラン~学食にて~』「キャッチフレーズマシンガン」『ダイエットセミナー』『時報』「カレーライスの限界に挑戦!」『料理番組』『人間』「次回予告」『神』『コーナー』「踊る!功太御殿!!」『姫子の寿司』「エンディング」

・特典映像(47分)

「トークコーナー」「スーパーヨーヨー ハイパーテクニック」「予想DE大相撲」「中山功太緊急密着ドキュメント 「Mr.Rは今、何を語るのか?」」