菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『COWCOW CONTE LIVE2』

COWCOW CONTE LIVE 2 [DVD]COWCOW CONTE LIVE 2 [DVD]
(2009/08/19)
COWCOW

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面白いんだけどなあ。

COWCOWにとっては一年ぶりとなる単独コントライブ映像『COWCOW CONTE LIVE2』。前作のスタイルを踏襲したネタから、完全に新作となるオリジナルネタまで、漫才・コント・ショートコント・一発ギャグにR-1ぐらんぷり2009で高い評価を得た山田興志のピン芸『テニスの得点係ジョン』を加えた全十二本のネタを収録している。特典映像には、おまけの漫才や舞台裏映像などを収録。

前作と同様、ネタの出来は安定して高い。昔の漫画で見たような気がするギャグ表現を実体化してみた『こういう人知りませんか?』を始めとして、思わずイラッとくる女性の仕草・言動をネタにした『イラキュア』(どうでもいいけど、タイトルの元ネタはプリキュアなのだろうか?)、立てこもり犯に立ち向かう刑事の姿とブログ更新の様子を同時進行でお送りする『多田刑事』など、まったく違う方向性だけどきちんと面白いネタが多かったという印象。もう一回書いておこう。ネタはちゃんと、面白かった。

ただ、どのネタが特別に面白かったかと聞かれると、ちょっと悩む。どのネタも安定して面白いんだけれど、安定しているが故に爆発力に欠けるというか。何度も書くけど、ネタは間違いなく面白いのである。確実に平均以上のクオリティを保っている。でも、どれか強烈に印象的なネタがあったかと聞かれると、僕は無かったと言わざるを得ないだろう。

言うまでもないが、笑いに安定感があることは決して悪いことではない。ネタの良し悪しが極端な芸人よりも、一定のクオリティを保っている芸人の方が、見ている側としては安心できるのは事実だ。ただ、昨今のお笑いブームの激しい波を観ていると、彼らのネタはあまりにも平穏すぎると感じてしまう。もっとハングリー精神をもって、スベりを厭わない笑いを構築しなくては、このお笑いショートネタ時代の波は乗り切れないかもしれない。

……と書きつつも、彼らにはこの平穏なままであってもらいたいと思ってしまう自分もいる。なにせ、ネタは面白いのである。既に面白いのだから、このままで良いじゃないか、と。そんなことを、特典映像でスタッフと仲良さそうに食べ歩きしている山田興志の姿を観るたびに、思ってしまうのである(余談だが、ぶっちゃけ本編レベルに面白い映像だと思う)。

とりあえず、来年のR-1ぐらんぷり山田興志が出場するのかどうか、ちょっとだけ気にしていたいと思う。もうM-1は出られないし、今年のKOCは準決勝落ちしたし。うーん。とりあえず、何かの賞レースで結果を残せたら、もう1ステップ上がれる気がするんだよね。矢野・兵動みたいに。


・本編(総収録時間:183分)

『こういう人知りませんか?』『剣道部』『駆け込み乗車』『イラキュア』『カーナビ』『漫才』『テニスの得点係ジョン』『多田刑事』『英会話教室』『対局』『研究室』『漫才2』

・特典映像

『おまけ漫才1~4』『山手線漫才』『幻のコント「イライラするガールズバー」』

「今年も起こった!『研究室』でのハプニング」「下北沢限定スペシャルエンディング」

「裏COWCOW CONTE LIVE2」