菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ドレキグラム'08』

ドレキグラム’08 [DVD]ドレキグラム’08 [DVD]
(2008/11/05)
フットボールアワー

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近所のレンタルショップで、フットボールアワーコントライブDVD『ドレキグラム'08』が旧作扱いになっていたので、借りてきた。収録されているコントは全部で九本。うち三本は一本目の連結となっているので、実質のオリジナルコントは六本だと考えていいだろう。そのうち一本は「爆笑レッドカーペット」で、うち二本は「笑・神・降・臨」で観たことのあるネタだった。おそらく今年、フットボールアワーがテレビで披露したコントの多くは、このライブで披露されたものなのだろう。

フットボールアワーといえば、M-1グランプリ2003での優勝のみに限らず、さまざまなお笑い賞レースを漫才で勝ち取っていることから、世間では漫才師としてのイメージが強いのではないかと思われる。が、彼らが元々持ち芸としていたのは、漫才ではなくコントだった。まだフットボールアワーの存在が世間に知られていなかった頃のネタを観たことがあるが、その時の彼らはコントを披露していた。家具屋に叩き具合の良い机を買いに来た刑事のコントで、そのなんともいえない無意味さが妙に印象に残っている。笑えたかというと、そうでもなかったが。

その無意味な笑いは、今でも彼らの基軸となっているらしい。今作『ドレキグラム'08』でも、彼らの無意味なコントが披露されている。面白いマンガを描こうとするも奇妙な展開へと転がってってしまう『あかとんぼ先生』、おっさんの股間を覗きたい人たちによって作られた行列を追う『行列』、「名字の通り、鳥を越えたい」という鳥越さんがバンジージャンプに挑戦し続ける『バンジージャンプ』など、後には何も残さないようなナンセンスコントが連発されていた。

ただ、やはり漫才師としての活動が長かったためなのだろうか、コントとしては些か物足りなさの残るものが多かった。「おっさんの股間を見るために行列が出来ている」「バンジージャンプを飛べずに何日もそこで生活をする」など、かなり面白い設定が提示されているにもかかわらず、それを遊ばせられていないのである。笑いの方向性は少し違うが、今のTHE GEESEと同じ状況に陥っていると言えるのかもしれない。

漫才師として頂点に立ったフットボールアワーだが、コント師としてはまだまだ進化するだけの余白が残っている。ここらで一つ、キングオブコントにでも参戦し、コント師として兜の緒を締めなおしてもらいたいところだけれど、どうだろう。過去二度の大会には、いずれも参戦していないみたいだから、もう我が道を突き進み続けるつもりなのかもしれない。うーん。もったいない。


・本編(91分)

『人魚』『演歌の花道』『その後』『あかとんぼ先生』『行列』『またその後』『ストリートライブ』『またまたその後』『バンジージャンプ

※レンタル版なので特典は無し