『アームストロングLIVE2009』
アームストロングLIVE2009 [DVD] (2009/11/18) アームストロング 商品詳細を見る |
オシャレでクールでカッコイイ。およそ芸人らしからぬフレーズだが、そんな言葉が彼らにはよく似合う。そんな芸人なんて、どうせろくでもないに決まっている……と決めつけつつもネタを観ると、これがなかなかどうして面白いし、やっぱりなんだかカッコイイ。おかしい。芸人というのは、社会に馴染めないような落ちこぼれたちが、最後の最後に選択するような仕事だった筈なのに、どうしてこんなにカッコイイ芸人が出てきてしまったのだろう。これも、時代なのだろうか。
そんな彼ら……アームストロングは、北海道出身の安村昇剛と栗山直人の幼馴染コンビだ。NSC東京の第六期生で、同期には“ものいい”がいる。結成当初はシベリアンハスキーというコンビ名で活動していたが、後に現在の名前に改名する。なお、このコンビ名の名付け親は、同郷で事務所の先輩にあたるペナルティのワッキーだそう。いい名前つけてもらったなあ。
アームストロングのコントは、とてつもなく“日常的”だ。マラソン大会を前に張り切る男子生徒、深夜のコンビニでバイトをしている若者、補欠だけど一生懸命頑張ろうとする女子バレー部……さりげない日常の中にある風景を切り取り、決して無理にその風景をコント色に染めることなく、あくまでも流れ行く日常の風景を維持したまま、そこに彼らなりの笑いのエッセンスをばら撒いていく。アームストロングは、そんな自然な日常的世界を生み出す能力がバツグンに長けている。
とはいえ、それ以外のネタがダメなのかというと、そういうこともない。例えばショートネタもイケる。「爆笑レッドカーペット」で披露しているOLコントの様に、一言ネタを混ぜたスタイルのコントもまた、高く評価されている。その浸透度は既に高く、「ちょっとー、こっち来て」とユニゾンする姿だけで、歓声が上がるほど。
一方で、若手芸人らしさを感じさせる、何の意味もないくっだらないコントなんかも演じたりする。先日リリースされた『アームストロングLIVE 2009』に収録されている『会員限定』というコントを観て、本当にこの人たちは単なるバカなんじゃないかと思ってしまった。いや、たぶんバカなんだろうけど。でも、いいバカだ。
そんな彼らの唯一の弱みが、漫才。アームストロングの漫才は、基本的にコントと同じスタイルを取っている。ボケとツッコミが曖昧で、ちょっと自然な会話の雰囲気を持っている感じ。これはこれで面白いんだけど、如何せん彼らは会話の間を大切にするところがあるので、全体的にテンポが遅いのだ。でも、一つ一つのボケが、強烈なインパクトを秘めているわけでもない。ここが弱い。彼らのことだから、きっとそのうち面白い漫才を開発してくれるんだろうけど(エラソー!)。
若者同士の自然な会話の中でこっそり笑いを生み出しつつも、ショートネタやナンセンスネタもそつなくこなす、オシャレでクールでカッコイイコンビ、アームストロング。このコンビ、もうちょっと世間で評価されてもいいんじゃないかと思う。
・本編(68分)
『漫才』『マラソン大会』『バー』『深夜のコンビニ』『くりさんとやすさん』『帰りの会』『合唱コンクール』『刑務所』『会員限定』『女子バレー部』
・特典映像(24分)
「パンチラ対決」「反省文」「コントOL」「安村昇剛のギャグ集」