菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『サンドウィッチマン ライブ2009~新宿与太郎狂騒曲~』

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(2010/02/03)
サンドウィッチマン

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2007年12月23日。そのコンビは大井競馬場にいました。風除けも何もないステージと、その上に置かれた一本のセンターマイク。ステージの前には、寒空の下で漫才師たちのネタをただただ待ち望んでいる、数多くの観客たち。凍てつく寒さを忘れさせるほどの笑いが、そこでは求められていました。もちろん、そんな笑いを生み出すのは、決して容易なことではありません。しかし、そのコンビは、その舞台で他のどの漫才師にも負けない笑いを生み出しました。そうして彼らは、百戦錬磨の審査員たちが待ち構えているステージへと向かい、やはり他のどの漫才にも負けない笑いを生み出したのです。

そんなM-1グランプリ2007の決勝戦が行われた日から、早くも二年が経過しました。敗者復活戦を勝ち上がり、決勝戦でまさかのトップ通過、そのまま優勝を果たしてしまうという偉業を成し遂げたそのコンビは、今でもテレビを中心とした活動を続けています。地元、宮城県仙台市に対する愛情を振り撒いている、彼らの名前はサンドウィッチマン。スマートで切れ味のあるツッコミの伊達みきおと、捻くれた言葉遊びを駆使したボケの富澤たけしによるこのコンビは、今日も何処かで誰かを笑わせていることでしょう。

今作『サンドウィッチマン単独ライブ2009 ~新宿与太郎狂騒曲~』は、2009年に行われた初めての全国ツアー(東京・大阪・名古屋・仙台)から、サンドウィッチマンの地元である仙台で行われたライブの様子が収録されています。

かつての彼らは、人の死を取り扱ったブラックな笑いや、ちょっと下品で人目をはばかるような笑いを、その単独ライブで披露していました。しかし今作は、すっかりテレビ向けのネタを作り出せる器用さを身に付けたのか、お子様からお年寄りまで純粋に楽しめるライブになっていたように思います(オープニングでいきなり「キン○マ」とか言っていましたが)。特に、不動産屋を舞台としたシチュエーションコント『不動産屋』と、みどりの窓口を舞台としたシチュエーションコント『みどりな窓口』などは、彼らのオーソドックスな笑いを堪能できる良作でした。

しかし一方で、単独ライブならではのユルーくてテキトーなネタも幾つか。伊達さんが明らかにまともじゃない人間に扮し、富澤さんにちょっかいをかけようとする『何でも知っている男』や、伊達さんのバーに牛乳を飲みにやってくる富澤さんが、くどくどとテキトーな話を展開する『マスター』などは、テレビでは披露されることのないタイプのネタでしょう。

(余談ですが、今作に収録されている『哀川町』は、サンドウィッチマンが「爆笑レッドシアター」で披露していたコントです。番組で観て、気になっている方はぜひ)

また今回は、特典映像にも見どころが。まず、ライブの幕間映像として流されたという「ヌータングーボ」。タイトルで分かりますように、あの某恋愛トーク番組をパロディした映像なのですが、基本的なコンセプトは元番組のそれとまったく変わりません。ただ、映像に出演しているメンバーの一人が、一癖も二癖もある人で……かなり面白かったです。

特典映像には、もう一つ見どころがあります。その映像とは、仙台でのライブが終了した後のアンコール映像です。故郷の観客たちからの熱いアンコールを受けて、サンドウィッチマンの二人はあるネタを舞台で披露します。そのネタとは、彼らの運命を大きく変えることとなった、あの大舞台でかけられた伝説のネタ。こういうネタをさらりと披露してしまう彼らの、芸人としての地力の強さを改めて感じさせられる映像です。漫才ファンなら必見!


・本編(71分)

「オープニング」「漫才」「不動産屋」「何でも知っている男」「マスター」「ショートコント」「みどりな窓口」「哀川町」「エンドトーク」「エンドロール」

・特典映像(67分)

「ヌータングーボ」「富澤 vs バンジージャンプ」「ラジオ」「メイキング」「アンコール」