菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~』

NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~ [DVD]NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~ [DVD]
(2010/02/24)
NON STYLE

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NON STYLEによる単独作品第四弾(単独ライブを収録したものとしては三枚目)。前作は全国6大都市を巡るツアーだったが、今作では更にその範囲を広げ、全国14都市を巡るツアーとなっている。2008年にリリースされた『NON STYLEにて』以後、年に一度のペースで新作DVDをリリースしている彼ら。もはや新作リリースの常連であると言ってもいいのかもしれない。

それにしても、相変わらず安定感のある面白さである。彼らの本分といえば漫才だが、今回はコントの完成度が高かったように思う。中でも、石田が自分勝手なアルバイト候補を演じる『竹林十五郎』と、井上が通常の数倍ほどにイキっている定番キャラクターコント『刑事』が、深く印象に残っている。実は漫才師としての才能よりも、キャラクターを活かしたスタジオコント師としての才能に秀でているのかもしれない。「爆笑レッドシアター」あたりに出てくれないものだろうか。(ちなみに、石田は志村けんと同じ誕生日らしい。なんたる偶然)

もちろん、漫才の完成度も高い。M-1グランプリ2009決勝の舞台で披露されていた「みねうち」と「不良漫画」のネタも収録されている充実ぶりだ。特に「みねうち」は、M-1決勝で披露されたバージョンよりも長く、非常に楽しめる内容に仕上がっていた。……つまり、M-1決勝の舞台で披露されたバージョンは、今作に収録されているバージョンのショートカット版だったということなのだろうか。……なにやらM-1グランプリ2006のフットボールアワーに感じた違和感を彷彿とさせられるが、あまり考えないことにする。うむ。……そういえば、あの年も優勝コンビはパーフェクト達成していたなあ……うむ。今作には、この「みねうち」と「不良漫画」以外にも三本の漫才が収録されているが、この二本に比べると少し劣る感。本当に良いネタをM-1に仕込んできたんだと、改めて納得。

そんな本編よりも、更に面白かったのが特典映像の『催眠術』。この特典では、普段は井上をイジる立場にある石田が、催眠術をかけられることによって、徹底的に井上からイジられまくるという映像が、延々と一時間以上も収録されている。まあ、これが面白い。口にする言葉が全て「ドラゴンフルーツ」になってしまう石田、ワサビを抹茶アイスだと言われてバクバク食べ始める石田、トイレットペーパーを万札だと思わせられる石田、そして特典映像のためだけに呼ばれた大物ゲストに対してブチ切れてしまう石田……テレビ的にアウトな気がしないでもない衝撃映像の数々は、僕のちょっと人間として機能してはならない感情をズキズキと揺れ動かしたような気がした。この映像を観るためだけでも、この作品には手に入れる価値がある!


・本編(88分)

「漫才1(無人島)」「コント:チェリー」「漫才2(ヤンキーを更生する先生)」「コント:竹林十五郎」「漫才3(みねうち)」「コント:一千万円」「漫才4(デートで寝坊)」「コント:指」「コント:刑事」「漫才5(不良漫画)」

・特典映像(118分)

「ツアーオフショット映像」「催眠術」