菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『NETA JIN3 ~堕ちたら這い上がれ~』

NETAJIN 3~Live Tour 2009 墜ちたら這い上がれ~ [DVD]NETAJIN 3~Live Tour 2009 墜ちたら這い上がれ~ [DVD]
(2010/03/03)
陣内智則

商品詳細を見る

現在、リアルな意味で孤独なピン芸人陣内智則による単独作品集第三弾。陣内がネタDVDをリリースするのは、2007年2月にリリースした『NETA JIN2』以来およそ三年ぶり。ちなみに、第一弾は結婚前、第二弾は結婚後、第三弾である今作は離婚後にリリースされていることになる。ああ、紆余曲折。

前作『NETA JIN2』では、自身のコントにエキストラを出演させるという、なんだかピン芸人としてのアイデンティティを逸脱したかのようなネタを披露していた陣内だが、今作では、きちんとピン芸人らしく大半のコントを一人でこなしている。「爆笑オンエアバトル」に出演していた頃に比べるとやや演技がぎこちないが、それでもピン芸人としての陣内のネタが今でも観られるのは、正直嬉しい。今後も定期的に続けていってほしいなあ。

今作に収録されているコントは、全部で九本。これまでに陣内が生み出してきたネタの延長線上にあるようなコントから、これまで陣内があまり見せたことのないスタイルのコントまで、多種多様のネタが披露されている。

個人的に面白いと感じたネタは、やっぱり映像がメインになっているコント。某番組をパロッた『ランク天国』(S-1グランプリで披露されたネタ)とか、ゾンビが襲いかかってくるゲームをプレイするお馴染みゲームセンターコント『ゾンビ』、ライブでやり過ぎて本人が飽き始めているという(笑)コント『テレビショッピング』あたりは、腹を抱えて笑った。特に『ランク王国』は、テレビ的なキャラを演じる陣内が、もうやたらと面白くて……って、映像ネタで笑ってんじゃないのかよ。マイセルフ。

逆にイマイチに感じたのは、音声を使ったコント。具体的にタイトルを上げると、真夜中に美術館の絵画が喋り出す『ナイトミュージアム』、自殺しようとする陣内を蝉が止めるハートフル(?)コント『いのち』、陣内が出演するドラマの台本を読み上げていく『~君となら~』あたり。これは構成が悪かったのかな。前半に目で見て笑える映像ネタを持っていき過ぎて、後半の耳で聴いて笑える音声ネタが地味に感じられてしまったんじゃないかと思う。やっぱり映像ネタと比べると、ちょっと地味だからなあ……。

ただ、今作の最大の見どころは、披露されているコントではなく幕間映像「走馬灯」にあり。車に轢かれた陣内が、まるで走馬灯を見ているかのように記憶を巡っていくこの映像は、もちろんアレの瞬間の彼とソレの瞬間の彼の姿も追っている。ぜひ、苦笑いを浮かべながら、見ていただきたい。ふふふふふ。


・本編(84分)

「オープニング」「バッティングセンター」「ランク天国」「ゾンビ」「テレビショッピング」「ナイトミュージアム」「いのち」「~君となら~」「走馬灯」「猫とおっさん」「絵日記」

・特典

陣内智則原田専門家(映像)、くらなり(構成)、諸岡立身(構成)による副音声解説