菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『爆笑オンエアバトル キングオブコメディ』で回顧する

爆笑オンエアバトル キングオブコメディ [DVD]爆笑オンエアバトル キングオブコメディ [DVD]
(2010/03/24)
今野 浩喜(キングオブコメディ)高橋 健一(キングオブコメディ)

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爆笑オンエアバトル」公式DVDシリーズは、その時代に注目され始めている芸人さんを中心に取り上げていくことが殆どでした。特に『爆笑オンエアバトル テツandトモ』のリリース以後は、その傾向が顕著に表れています。なので、「爆笑オンエアバトル」公式DVDシリーズから、キングオブコメディがリリースするということを知ったときは、本当に驚きました。まさか、彼らが時代に注目される日が来ようとは。

僕が「爆笑オンエアバトル」で彼らのネタを初めて観たのは、2002年11月のことでした。その時、彼らが披露していたのは、高橋さん演じる不登校の少年の家に、今野さん演じる同級生の少年が学校に来るよう説得するというコント。“説得している筈が説得になっていない”というオーソドックスな流れの中に、時折含まれる不条理さが生み出す妙な後味が深く印象に残りました。特に「もう、ドアも開けないか!」という高橋さんのツッコミは、とてつもない衝撃を受けたものです。

次にキングオブコメディのネタを観たのは、翌年の2003年4月のことです。高橋さん演じる報道レポーターが、今野さん演じる不良っぽい少年にインタビューをするというコントでした。“イマドキの若い人が使っている言葉”という名目で繰り出される、その状況にそぐわない単語の数々は、先のコントよりも明らかに不条理な笑いを生み出していました。確か、彼らはこのネタで、「エンタの神様」などのネタ番組に出演していた記憶があります。アンジャッシュドランクドラゴンといった同じ事務所のコント師たちが注目されていた頃だったので、その後に続くコンビとして注目されていたのかもしれません。

そんな彼らの「爆笑オンエアバトル」におけるひとつの大きな傾向として、安定してオンエアの波に乗ることができなかった、というものがあります。スペシャルにも参加して、すっかり番組の常連になっていた感のあるキングオブコメディですが、その連勝記録を見てみると、なんと最高で三連勝しかしていません。そのことは、彼らが「爆笑オンエアバトル」に向けてネタを作っているのではなく、あくまでも自分たちが面白いことをするのだという、職人気質な内面を表しているのかもしれません。

職人気質といえば、今回のDVDには過去にオンエアされた『パントマイマーに弟子入り志願』のオフエアバージョンが収録されていました。オンエアされたバージョンが収録されているのですから、別に収録する必要はなかったのではないかという気もしますが、そこに彼らならではのこだわりがあったのではないかという気もします。ちょこちょこ違う部分もありましたしね。

コント職人として、着実にその認知度を高めていたキングオブコメディ。ですが、2007年にとある事件が彼らを襲います。ツッコミ役の高橋さんが、痴漢の容疑で逮捕されてしまったのです。年度初のオンエアでオーバー500を記録し、今年度こそは初めてのチャンピオン大会出場を果たすのだと意気込んでいた、そんな時期のことでした。その後、高橋さんの容疑は晴れて、2008年1月にコンビとしての活動を復帰しましたが、彼らが再びオンエアバトルの舞台に立つことはありませんでした(2010年1月の「オンバトプレミアム」には出演していましたが、それはそれ)。

現在、キングオブコメディは、ショートネタブームの中心的番組「爆笑レッドカーペット」に定期的に出演し、人気を博しています。2006年5月に「爆笑オンエアバトル」で披露した、今野さんの女子高生キャラが注目されるようになったためです。どこに鉱脈が眠っているか、分からないものですね。このテレビ露出をきっかけに、彼らのコントの“真髄”に興味を持ってくれるようなファンが増えてくれればいいのですが。


・本編(83分)

過去に「爆笑オンエアバトル」でオンエアされた14本とオフエアになった4本を合わせた全18本のネタを収録

・特典映像(20 分)

爆笑オンエアバトル座談会と「キングオブコメディ UP&DOWN」を収録