菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『肉糞歌劇団 ~コサジ一杯の鳥の中身~』

コサジ一杯の鳥の中身 [DVD]コサジ一杯の鳥の中身 [DVD]
(2010/04/07)
千原ジュニア(千原兄弟)川島(野性爆弾)

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2009年10月に神保町花月で行われた川島邦裕野性爆弾)脚本による舞台『コサジ一杯の鳥の中身』を収録。出演は、川島邦裕カナリア、Bコース、福島善成(ガリットチュウ)、延増静美(毛皮族)。また、日替わりゲストとして、千原ジュニア千原兄弟)、蛍原徹雨上がり決死隊)、木村明浩(バッファロー吾郎)、なだぎ武ザ・プラン9)、千原せいじ千原兄弟)が参加。今作には、ゲストに千原ジュニアが出演した日の模様が収録されている。

都で亡くなった人間を埋める村があった。しかし、いつからか村には埋める場所が無くなってしまい、気付けば死体は道の脇に放り出されるようになってしまった。時が経つにつれて死体は腐り出し、異常な臭いを発するようになり、村では恐ろしい病気が蔓延するようになる。村の人々は、雉神様に助けを請うばかり。そんな時、村に“蟲を扱う者”を名乗る男たちが現れる。“蟲を扱う者”は、それら死体を浄化して村の人々を救い始めるのだが……。これが、この舞台のストーリーである。

野性爆弾のコントと同様、お笑いの舞台とは思えない生臭さが漂うストーリー。ただ、川島の前衛的な世界観が一方的に繰り広げられる野性爆弾のコントとは違い、この『コサジ一杯の鳥の中身』は比較的分かりやすい笑いが多い。例えば、切腹しようとする軍人の腹に短刀が刺さらないので、服を開いてみるとそこには“NASA”と書かれている。例えば、女装したイジメっ子が、正体を明かす前に行為に至ってしまう。例えば、鳥の姿に変身した神の姿を見て、蟲を扱う者が「この鳥は何処かで見たことがあるぞ!」と言いながら、ノートパソコンを取りだして検索する。決して難解ではない、ベタとナンセンスが交差した笑いの世界。その様は漠然と、バラエティ番組でのひな壇における川島の佇まいを、彷彿とさせる。この辺りの話は、死んだ目でダブルピース氏の記事に詳しい。そちらを参考にしてもらえれば、これ幸い。

野性爆弾関連の作品を鑑賞したのは、2008年2月にリリースされた『野爆 DVD In DVD』以来のことだったが、その当時に観たネタよりも、今作の方が圧倒的に分かりやすく出来ていたように思う。ただ、相変わらず川島の濃厚な世界観が滲み出ているため、おそらく一般の人にはウケにくい。野性爆弾というコンビの世界観を理解している人じゃなければ、鑑賞するのは難しいのではないだろうか。……と、そう考えると、今回の作品はかなり微妙な立ち位置にあると言えるのかもしれない。とりあえず、最近ちょっとテレビ露出が増えている野性爆弾(もとい川島)に興味のある人には、薦められるかもしれない。でも、ひょっとしたら、引かれてしまうかもしれない。かもしれない作品。

なお、特典映像には、肉糞亭鰐淵ことレイザーラモンRGが歌うエンディングテーマ「レイニーデイ」のプロモーションビデオが収録されている。先日リリースされた、とある芸人のライブDVDの特典映像にも出演していたRG。さりげなく、実にさりげなく、彼の時代が近付いてきているのかもしれない。……いやいや、まさか。


・本編(76分)

・特典映像(25分)

「集いの広場」「レイニーデイ PV」「Ho-ho-ho」「肉糞旗体操歌(全員集合)」「それぞれのMy way」