2010年上半期のお笑い系DVDを振り返る
■1月
『ご指名・ご購入ありがとうございま~す! ~笑いたいなら、一枚いかがですか?安心と実績、笑いの保証 約束編~』(とろサーモン)
『2010年度版 漫才 爆笑問題のツーショット ~2009年総決算~』
一月で最も印象的だった作品は、やはり『オードリーのオールナイトニッポン』だろう。長い歴史を誇るオールナイトニッポン史上初めてその収録現場にカメラを入れた、単なるお笑い芸人の映像作品を越えるある種の資料としての価値もあったように思う。ロケシーンとラジオブースシーンを分けることで、オードリーの二面性を浮き彫りにしたという意味でも、かなり興味深い作品だと言えるだろう。この他にも、普段は見られないキリッとしたボケを見せた風藤松原、MJに対する愛を詰め込んだ映像を見せつけたマイコーりょう、ただただバカを追求したエレ片が印象的。特に、エレ片のユニットコントとは思えないチームワークぶりには、ただただ脱帽。
■2月
『NON STYLE LIVE 2009~M-1優勝できました。感謝感謝の1万人動員ツアー~』
『よゐこと一緒にコントライヴ ~カッちゃんテッちゃん千秋ちゃん。ついでに来たのがTKO~』
漫才とコントのバランスが良い二月。ただ、印象に残った作品は少なく、常に単独ライブでは高水準なものを見せつけているNON STYLEと、漫才とロケーション映像をいい塩梅に見せるハライチくらい。ただ、サンドウィッチマンと東京03、ロッチに関しては、観ているこちらの期待が高すぎるような気もする。特に東京03に対する期待は、第七回単独『スモール』がとてつもない傑作だったため、途方もなく上がっている。近日リリースされるという『自分、自分、自分。』はどうなるのだろうか。また、よゐこのコントライブが数年ぶりにリリースされたことも、ここに書き留めておこう。
■3月
『U字工事 5ミニッツ・パフォーマンス ごめんねごめんね~』
『キュートンDVD』
『バカリズム案』
『シティボーイズミックス PRESENTS そこで黄金のキッス』
年度末とあってか、上半期最大のリリース量を記録した三月。バッファロー吾郎結成二十周年記念作品、時代を牛耳る『爆笑レッドカーペット』初ソフト化など、芸能史に残るだろう作品も幾つか。が、個人的には、やはり『爆笑オンエアバトル』から四作品が同時リリースされた“事件”は捨て置けない。まさか『爆笑オンエアバトル キングオブコメディ』がリリースされる日が来るとは……。その他にも、バカリズムによる非コントライブを収録した『バカリズム案』、話題のユニットによるコントライブを収録した『キュートンDVD』なども印象的だが、三月といえばなんといってもシティボーイズミックス『そこで黄金のキッス』だろう。上半期どころか、下手すれば今年最高の一作!
■4月
『コサジ一杯の鳥の中身』(脚本:川島邦裕)
三月の勢いは何処へやら、特に気になる作品が見つからなかった四月。記録映像の保存という意味で手にした『プレミアステージ2009』は、特典映像の芸人対談も含めてそこそこの秀作だったが、やはり四月は『コサジ一杯の鳥の中身』がただただ強烈。野性爆弾・川島の世界が大爆発!
■5月
『潜在異色 vol.1 全3巻収納BOX&オリジナルTシャツ付 【Amazon.co.jp限定】』
数は少ないながらも、秀作揃いの五月。胡散臭い業界人コントのイメージから脱却を計ろうとする夙川アトム単独ライブ、安定感のある話術を駆使して家庭内の他愛もない出来事を笑いへと昇華する兵動大樹トークライブ、漫才師としてのイメージが強い二人によるかまいたち完全コントライブと、独自の活躍を見せる作品が揃うが、やはり五月は『潜在異色』の衝撃に尽きる。プレイヤーとしての能力を如何無く発揮する山里、作家としての才能を爆発させる田中、ただ単純に暴走する若林。たまらない。
■6月
『桜の季節~卒業~』
上半期最後の月、六月は全体的に無難で安心感のあるラインナップが見られた。安定感のある漫才とブラックなコントを見せつけたチーモンチョーチュウ、漫才師として大きくレベルアップしたオリエンタルラジオ、シティボーイズの足跡を歩むナンセンスの旗手がその真の腕を見せたTHE GEESE単独ライブ『ALTERNATE GREEN』。ああ、ハズレなし!