菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『キュートン風呂』

キュートン風呂 [DVD]キュートン風呂 [DVD]
(2010/07/14)
キュートン

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椿鬼奴増谷キートンくまだまさしアホマイルド、しんじの六人から成るお笑いユニット、キュートン。彼らがテレビで注目されるようになったのは、『あらびき団』で披露した“ポージング”がきっかけだった。数々の若手芸人たちが如何に新しい笑いを生み出すか苦心している昨今のお笑い界において、“ポージング”は「カッコイイBGMに合わせてカッコイイ衣装を身に纏った面々がカッコイイポーズを決める」というあまりにも単純明快な芸だった。この“ポージング”が生み出す、分かりやすくてシンプルな面白さ、楽しさが多くの視聴者の心を掴んだのである。観客を楽しませようというエンターテイメントの精神に、ポップでキッチュな感性が混じり合う。それがキュートンの笑いだ。

キュートン風呂』は、そんなキュートンの笑いが映像という形で表現された作品だ。本編には、“ポージング”を意識しただろう格闘ゲームのオープニングの様な盛り上がりを見せた『キュートンファイト』、若手映像クリエイターが手をつけたような独特の質感がたまらない夫婦コント『箱』、キュートンメンバーの中で最もその私生活が謎に包まれている男の生きざまを追ったドキュメンタリー『しんじのある一日』、昭和のドラマを意識したような設定の中でキュートンらしさが静かに暴発する『中華屋けんちゃんシリーズ』など、多種多様な映像が収録されている。中でも秀逸なのが、キュートンのショートコントを幕間映像の様に収録した『キュートン・ベリーショートムービー』および『サイレントコント』。キュートンがステージで展開しているコントをそのまま取り込んだような、実に奇妙な映像だった。

……今作の様に、映像の表現を重視している作品は、どうも多くを語りにくい。語れないわけではないのだが、あまりに語り過ぎると、映像として面白い筈の部分を面白くないように伝えてしまうのではないか、という危険性を意識してしまうからだろう。はっきり言って、この『キュートン風呂』は面白い。映像でなくては表現できないような笑いが、キュートンの視線できちんと作られている。案ずるな、しかと見よ。最高にクールでカッコイイユニット、キュートンは決して裏切らない。


・本編(100分)

キュートン風呂 オープニング」「キュートンファイト」「溶接」「箱×三本」「しんじのある一日×三本」「中華屋けんちゃんシリーズ×七本」「くるみ荘」「キュートン風呂 エンディング」「キュートン・ベリーショートムービー×十三本」「サイレントコント×十三本」

・特典映像(107分)

「みんなで観ようキュートン風呂」「しんじケーキ」「キュートンファイト メイキング」

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