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『LIVE! 潜在異色 特別版 【SUIDOBASHI秘宝館】』

LIVE! 潜在異色 特別版 【SUIDOBASHI秘宝館】LIVE! 潜在異色 特別版 【SUIDOBASHI秘宝館】
(2010/08/27)
山里亮太(南海キャンディーズ)田中卓志(アンガールズ)

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今作は2010年1月~3月にかけて放送されていたバラエティ番組『潜在異色』のメンバーが、同年5月にJCBホールで行ったライブを収録した作品である。だが、そもそも『潜在異色』という番組自体、ライブがテレビへと進出したものなので、これできちんと本来の形態に戻ったのだというべきなのかもしれない。

念のために説明するが、『潜在異色』はテレビで活躍している若手芸人たちが「見せたことのない見せたいワタシ」というコンセプトの元に、漫才やコントなどのネタを披露するステージのことである。先にも書いた様に、当初はライブを中心に活動していたが、このライブが好評だったためにテレビへの進出が決定した。主な出演メンバーは、山里亮太南海キャンディーズ)、田中卓志アンガールズ)、鈴木拓ドランクドラゴン)、田村亮ロンドンブーツ1号2号)、山本博(ロバート)、オードリー、鳥居みゆき伊達みきおサンドウィッチマン)など。今作ではこれらの面々に加え、富澤たけしサンドウィッチマン)や高橋健一キングオブコメディ)がゲストとして出演している。

ライブでは、田中卓志鳥居みゆきが台本を書いたユニットコントや、山本博田村亮鈴木拓らの一人コントなどが披露されている。元来のコンセプトである「見せたことのない見せたいワタシ」に沿った内容だ。ただ、そのネタのクオリティは、テレビ版『潜在異色』でオンエアされていたネタに比べて、明らかに劣る。観るべきところがないわけではない。田中の非モテパワーが全開の『童貞矯正合宿』や、鳥居の高濃度なブラック芝居をサンドウィッチマン高橋健一という組み合わせで堪能できる『密室』などは、それぞれの特色が色濃く表れていて、かなり面白かった。ただ、全体を眺望すると……良くはない。

今作を観ていると、テレビ版『潜在異色』があくまでもテレビ放送用に作られたものだということがよく分かる。番組でオンエアされていたネタもかなりスレスレな感じがあったが、それでもきちんとテレビでオンエアできるレベルに達していたのだと。常々、ライブはテレビなどの媒体では出来ないことを見せられる場として重宝されがちだが、その自由さが故に生じる弊害というものを、今回は見せつけられた気がする。

しかし、『潜在異色』が「見せたことのない見せたいワタシ」という、半ば演者のワガママに観客が付き合うことを前提としたものであることを考えると、これこそが『潜在異色』というべきなのかもしれない。今後、彼らがテレビで活躍の場を広げるごとに、この『潜在異色』もまた変化を遂げていくことだろう。その時、彼らはどんな“オンエアできないネタ”を見せてくれるのか。今後の展開に期待したい。


・本編(137分)

「楽屋にて…1」「ユニットコント 童貞矯正合宿」「負け犬書道」「春日、帰る」「楽屋にて…2」「田中卓志VS若林正恭 in SUIDOBASHI秘宝館」「楽屋にて…3」「密室」「楽屋にて…4」「ショートコント カーナビ」「ショートコント オペ室」「ショートコント タイムください」「VTR 鳥居みゆきのスイッチ」「僕の好きなもの」「写真家」「たりないふたり in SUIDOBASHI秘宝館」「VTR 逃棒者」「楽屋にて…5」「ユニットコント 水道橋秘宝館」

・特典映像(約50分)

「ツッコミプロファイリング in SUIDOBASHI秘宝館」「田中卓志VS若林正恭 in SUIDOBASHI秘宝館 5.6Ver.」「鳥居みゆきのスイッチ 完全版」「エンドトーク」「記者会見~春日にまたも事件が!?~」「公演終了後 潜在ウラトーク ~打ち上げ、しかし新たな紛争勃発~」

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