菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ニブンノゴ!初コントDVD ネタやります。』

ニブンノゴ!初コントDVD ネタやります。ニブンノゴ!初コントDVD ネタやります。
(2010/09/15)
ニブンノゴ!

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泥の97年組のメンバー、ニブンノゴ!による初めてのネタDVD。近年は「爆笑レッドカーペット」にも出演していた彼らだが、個人的には「爆笑オンエアバトル」で活躍していたトリオの一組という印象が強い。今作はベストネタDVDということで、当時オンエアされたネタを観ることが出来るんじゃないかと期待していたのだが、番組でオンエアされたネタのうち、今作に収録されているのは『擬音職人』のみ。当時からの視聴者としては残念だが、収録されているネタは安定して面白く満足できた。

ニブンノゴ!というトリオの持ち味は、とにもかくにも“ふざけている”ところにある。シチュエーションや設定がどんなに違っていようと、彼らはこのスタンスを決して崩さない。そういえば、彼らの近年の代表作『深夜のコンビニ』は、ヒマなバイト二人がコンビニ強盗を相手にふざけ倒すコントだ。彼らのスタイルをストレートに表現していたからこそ、このコントは高く評価されたと言えるのかもしれない。

一方で彼らは、ふざけていないコントを演じることもできる。今作でいうところの『男と女』がそれだ。このコントではまず、決して不自然ではない程度に、男と女のやりとりがきちんと描かれる。簡単に説明すると、険悪だった男女がちょっとしたやりとりを経て、再び愛を取り戻す……と、まあ陳腐な内容だ。この一連のやりとりが終わったところで舞台は暗転、先ほどの男女に加えてある異質の存在がその舞台に加わる。その異質の存在は、先ほどの男女によるやりとりとまったく同じやりとりの中で、自らの役割をきちんと担っている。……などと書くと、なにやら難解でややこしいコントである様に思われるかもしれないが、これもまた違ったカタチで彼らのおふざけっぷりを感じさせるコントだ。是非、楽しんでもらいたい。

個性的なギャグがあるわけでもなければ、芝居型のコントを作れるわけでもない。圧倒的なセンスを匂わせることもなければ、独自のスタイルを切り開いているわけでもない。はっきり言って、彼らは現存するお笑いトリオの中では、最も地味で無個性な存在なのかもしれない。だが、彼らのおふざけ感満載のコントが面白いことは、この作品がきちんと証明している。ただ残念なのは、個人的に好きなコント『ダブルブッキング』『サッカーの壁』が収録されていないことだ。これ以外にも、彼らの面白いおふざけコントはまだまだ存在する。その辺りのネタも収録した第二弾DVDのリリースを、強く望む。

(余談。今作に収録されている『森本ランド』だが、これは確か『千歳烏山ランド』というタイトルだった筈だ。どういう理由があっての改題なのかは知らないが、以前のタイトルの方が圧倒的に良かった。『森本ランド』では、単なる一人の変人によるテーマパークもどきである。あの男があの規模のテーマパークとも言えないシロモノを、堂々と地名を冠して『千歳烏山ランド』としてしまうところが面白いのに。勿体無い。実に勿体無い……)


・本編(110分)

「深夜のコンビニ」「トイレ」「擬音職人」「電器屋」「男と女」「山のスペシャリスト」「金の斧 銀の斧」「催眠術」「森本ランド」「チョロンチン鉄道」「魔法のランプ」「護身術教室」「理髪店」

・特典映像(29分)

「リーダーカメラ」「リーダー引越し祝い」「森のミュージシャン」「森のインストラクター」「温泉トーク(友情出演:ギンナナ・金成)」